ヨーロッパの歴史風景 近世編




西暦1738年、ナポリの老舗のピッツェリア「ポルタルバ」が路上でピザを売り始めた。(イタリア)


ナポリの老舗ピッツェリア「ポルタルバ」でピザを食べた

私たちがイタリア南部の街ナポリを旅したときのことなんだけど、市内のホテルに荷物を放り込み、まず向かったのは老舗のピッツェリアだった。なんといってもナポリはイタリアのピザの本場だからね。

イタリア南部カンパーニャ地方の街ナポリの老舗ピッツェリア「ポルタルバ」の係のおじさんとオーナー

ナポリで最初に向かったピッツェリアが上の画像(ピザを持って立っているのは私たちのテーブルの係のおじさん、座っているのは当時のオーナーなんだ)。この老舗のピッツェリア「ポルタルバ」なんだけど、この店は西暦1738年には路上でピザを売り始めたんだそうな。その後、今の場所にピッツェリアをオープンしたのが西暦1830年だったとか。

昔のピザは今のようにピッツェリアやレストランで食べるものではなく、屋台で買って食べるものだったとか。フランスの作家アレクサンドル・デュマ・ペール(彼の父親は捕虜としてナポリで過ごしたことがあった)は、ピザはナポリの貧民の食べ物だと書いているらしいよ。何だか日本の江戸時代の江戸前の握り寿司とか天ぷらに似ているかも。

トマトとイタリアのピザ

人間は新石器時代からパンを食べ続けているんだそうな。ピザもその延長にあるんだろうね。10世紀のイタリアの資料にはピザが登場するらしい。「ピザ」という呼び名の語源は、ラテン語からという説、古代ギリシャ語が変化したという説、ゲルマン人の言葉が元になっているという説、・・・などなどあるけど、要ははっきりとはわからないみたいだけどね。

そんな歴史ある食べ物ピザを変えたのが、16世紀にイタリアに到来したトマト(ポモドーロ)だったと言われている。コロンブスコルテスなどの航海や探検の結果、トマトの原産地である中南米を支配したのがスペインだった。他方でアラゴン王フェルナンド2世がナポリを支配し、その孫であるスペイン王カルロス1世以後も歴代のスペイン王がナポリを支配したわけだ。そのスペインがナポリにトマトをもたらし、ナポリにおいてトマトとチーズを載せたピザが作られたんだそうな。

イタリア南部カンパーニャ地方の街ナポリの老舗ピッツェリア「ポルタルバ」で食べたピッツァ・マルゲリータ

ナポリで作られたピザにして、イタリアの代表的なピザの一つとなっているのが、トマトとバジルとモツァレラ・チーズを使ったピッツァ・マルゲリータだよね。上の画像は、ナポリの老舗ピッツェリア「ポルタルバ」で食べたピッツァ・マルゲリータなんだ。

ピッツァ・マルゲリータとナポリのピッツェリア「ブレンディ」

西暦1889年に当時のイタリア王妃マルゲリータに捧げられたと言われているピッツァ・マルゲリータなんだけど、一般的にはナポリの老舗ピッツェリア「ブレンディ」(当時の店の名前は違っていたみたいだけど)のピザ職人が作り出したとされることが多いらしい。(下の画像はその「ブレンディ」で食べたピッツァ・カプリチョーザ。)

イタリア南部カンパーニャ地方の街ナポリの老舗ピッツェリア「ブレンディ」で食べたピッツァ・カプリチョーザ

でも、先に書いた老舗ピッツェリア「ポルタルバ」によれば、王妃にちなんだ名前はともかく、ピッツァ・マルゲリータは昔からナポリで食べられていたピザの一つだったとか。

やっぱり美味しいイタリアのピザ

そんなこんなで歴史のあるイタリアのピザなんだけど、本場で食べる色々なピザは美味しいよね。そんなイタリアのピザの中でも印象的だったのが下の画像にあるズッキーニのピザ。

イタリアの首都ローマの街角のピッツェリアで食べたズッキーニのピザ

ローマサンタンジェロ城近くの街角のどうってことのないピッツェリアで食べたんだけど、あつあつのズッキーニがほこほこでとっても美味しかった。こんなシンプル極まりないピザもあっても良いよね。あああ、グラスいっぱいのワインを片手に美味しいピザを食べたい。

ところで、西暦2016年3月のあるニュースに私は驚かされた。イタリアがナポリ・ピザをユネスコの無形文化遺産に申請するというんだ。え、まだ無形文化遺産になっていなかったのか。こんなに世界中の人々を幸せにするナポリ・ピザなんだから、直ちに無形文化遺産となるべきだよね。

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