ヨーロッパの歴史風景 近世編




西暦1594年、ブルボン家のフランス王アンリ4世が首都パリに入城した。


フランス王となったブルボン家のアンリ4世

ユグノー戦争が続くフランスで、西暦1588年にブロワ城でカトリックの指導者ギーズ公アンリを暗殺したフランス王アンリ3世。そのアンリ3世も翌年にカトリックの修道士に暗殺されてヴァロワ家が断絶し、ユグノー(ジャン・カルヴァンの教えに従うプロテスタント)の指導者にしてブルボン家のフランス王アンリ4世が即位した。

ところが、フランスの首都パリは根強いカトリックの牙城であり、ユグノー(プロテスタント)の指導者であるブルボン家のフランス王アンリ4世の入城を拒んでいた。(西暦1572年のサン・バルテルミーの虐殺の際にブルボン家のアンリはカトリックに改宗したものの、自由を回復した西暦1576年に再びユグノーとなっていた。)

フランスの首都パリのモンマルトルの丘から眺めたパリ

その後もフランス王アンリ4世は首都パリの攻略を目指した。西暦1590年のパリ攻囲の際には、パリの北にあるモンマルトルの丘の上に砲兵陣地を置いたこともある。でも、フランス王アンリ4世の入城をカトリックのパリは拒み続けたわけだ。(上の画像はパリのモンマルトルの丘のサクレ・クール寺院の石段から眺めたパリ市街。)

カトリックに改宗したフランス王アンリ4世

結局のところ、ユグノー(プロテスタント)のままでは首都であるパリに入城することができないと考えたフランス王アンリ4世は、カトリックに改宗することを決めた。そして西暦1593年7月、パリ郊外のサン・ドニ大聖堂でフランス王アンリ4世はカトリックに改宗したんだ。彼を支援していたメディチ家の第3代トスカナ大公フェルディナンド1世の勧めに応じたものらしい。

フランスの首都パリの郊外のサン・ドニ大聖堂のバラ窓のステンド・グラス

上の画像はそのサン・ドニ大聖堂のバラ窓のステンド・グラス。フランスのゴシック様式の先駆的な建築でもあるサン・ドニ大聖堂はステンド・グラスも美しい。フランス王家の墓所もある。

フランス王アンリ4世の戴冠式

カトリックに改宗したフランス王アンリ4世は、フランス国内で次第に支持を広げていった。そして改宗の翌年の西暦1594年には、シャルトル大聖堂(下の画像)で戴冠式を行ったんだそうな。(サン・ドニ大聖堂の影響を受けて建てられたゴシック様式のシャルトル大聖堂はシャルトル・ブルーのステンド・グラスで名高い。)

フランスのシャルトル大聖堂の外観

フランス王の戴冠式は伝統的にはランスの大聖堂で行うことになっているんだけど、その時点でランスはフランス王アンリ4世を拒んでいたらしい。

フランス王アンリ4世のパリ入城

そんなこんなでカトリックに改宗し、フランス各地に支持を広げていったブルボン家のフランス王アンリ4世。ついに西暦1594年3月にフランスの首都パリに入城することができた。西暦1589年の即位から5年が経っていた。

フランスの首都パリのオルセー美術館のテラスから眺めたセーヌ川とルーブル美術館

パリに入城したフランス王アンリ4世は、首都パリの再開発を進めたらしい。また、ルーブル宮殿には多くの芸術家を住まわせたんだそうな。そのルーブル宮殿も大きく拡張し、隣のテュイルリー宮殿(今は庭園のみ残る)と結ぶ回廊を作ったらしい。(上の画像はパリのオルセー美術館のテラスから眺めたルーブル美術館。)

他方で、長くフランスを疲弊させてきたユグノー戦争については、西暦1598年にナントの勅令を発し、一定の制限の下にユグノー(プロテスタント)に信仰の自由を与えたらしい。

なお、西暦1572年にパリのノートルダム大聖堂で結婚式を挙げたマルグリット・ド・ヴァロワについては、その結婚が無効であるとの宣言が西暦1599年に出ている。その上でフィレンツェのメディチ家の令嬢マリー・ド・メディチと西暦1600年に結婚したんだ。(彼を支持してきたトスカナ大公フェルディナンド1世の姪にあたる。その結婚の目的はメディチ家の財産だったとの説もあるけど。)

但し、イタリアのフィレンツェで挙げられた結婚式にはアンリ4世は参加できずに代理を出席させ、その後にマルセイユに上陸したマリー・ド・メディチと初めて会ったのはリヨンにおいてであったらしい。その時、アンリ4世はサヴォイ公との戦争の最中だった。翌年にはサヴォイ公からペルージュの街を奪っている。

そんなブルボン家のフランス王アンリ4世は、西暦1610年にカトリックによって暗殺されている。(サン・ドニ大聖堂の中にフランス王アンリ4世の墓標もある。)

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