ヨーロッパの歴史風景 中世編




西暦1088年、イタリアの街道の街ボローニャに、ヨーロッパ最古の大学が設立された。


ボローニャに設立されたヨーロッパ最古の大学

今でこそ日本には数え切れないほど多くの大学がある。でも、最初に設立されたのは、西暦1877年(明治10年)の東京大学なんだそうな。他方、今のヨーロッパにも無数の大学がある。そのヨーロッパで最初に設立されたのが、イタリアのボローニャ大学だった。その設立は西暦1088年のこと。日本で言えば平安時代、白河上皇の院政が始まって間もなくの頃だね。

ボローニャにあるアルキジンナージオ宮殿はかつてのボローニャ大学の学舎のひとつ(イタリア)

上の画像はボローニャ市内にあるアルキジンナージオ宮殿(14世紀の建物)なんだけど、西暦1803年までボローニャ大学の学舎のひとつだったそうな。今ではいろいろなブティックが入っているけどね。

街道の街ボローニャが自治都市として発展

ところで、このヨーロッパ最古の大学が設立された街ボローニャなんだけど、古くからの交通の要衝だったらしい。

紀元前7世紀頃には古代エトルリア人、紀元前4世紀にはケルト系ガリア人の支配下にあった。紀元前189年には古代ローマが植民都市ボノーニャを築き、その2年後にはエミリア街道を建設。以後、このボローニャはイタリアを貫く街道の要衝の街となったらしい。

イタリア北部ボローニャ周辺の略図

西暦476年に西ローマ帝国が滅亡した後には、東ゴート族、ビザンティン帝国、ロンバルド族などの統治下にあった。やがてフランク王国のカール大帝に攻略され、ローマ教皇に寄進された。

やがて11世紀、街道の街ボローニャは自治都市として発展した。この街にヨーロッパ最古の大学が設立されたのはその頃のことだね。街の人々は建物の通りに面した側にポルティコ(柱廊)を立て、その上に部屋を建て増しし、そこにボローニャ大学の学生たちを下宿させたんだそうな。

大学と共に成長した街ボローニャ

ヨーロッパ最古の大学を設立したボローニャには、著名な学者が招かれた。そんなボローニャ大学にはヨーロッパ各地から多くの学生たちが集まってきたらしい。西暦1262年にはボローニャ大学の学生数は1万人を越えていたとか。街道の街ボローニャは大学と共に成長を続けたわけだね。そんな中世ボローニャでは、多くの塔が建てられたらしい。(下の画像は今もボローニャにそびえるアシネッリの塔。)

ボローニャにあるアシネッリの塔(イタリア)

13世紀に入るとボローニャの人口は5万人を越え、ヨーロッパでも5本の指に入る大都市となっていた。但し、南仏マルセイユに上陸した黒死病(ペスト)によって西暦1348年にはボローニャの人口の半分以上もの人々が亡くなったらしいけどね。

ヨーロッパを代表する著名人を輩出したボローニャ大学

西暦1088年に設立されたボローニャ大学、ヨーロッパ最古の大学は多くの著名人を輩出している。例えば、イングランド王と対立して殺害されたカンタベリー大聖堂の大司教トマス・ベケットもボローニャ大学で学んでいる。叙事詩「神曲」で名高い詩人ダンテも同じくこの大学で学んだ。

地動説を唱えたポーランドの天文学者コペルニクス(下の画像はポーランドの紙幣に描かれた彼の肖像)もボローニャ大学で学んだ。

ボローニャ大学で学んだこともあるコペルニクス(地動説で名高い天文学者)

教会大分裂(シスマ)の真っ最中にメディチ家のジョヴァンニ・ディ・ビッチに支援されて即位した対立教皇ヨハネス23世も、この大学で法律を学んでいたらしい。

更にはイタリアを制覇することを夢見たチェーザレ・ボルジアの父親のローマ教皇アレクサンデル6世もボローニャ大学で学んだ人物だったそうな。他にも数え切れないほど多くの著名人がこのヨーロッパ最古の大学で学んだらしい。

他方で、ヨーロッパ各地の都市はボローニャにならって大学を設立している。西暦1150年にはフランスの首都パリ、西暦1167年にはイギリスのオックスフォード、西暦1209年には同じくイギリスのケンブリッジ、西暦1224年にはイタリアのナポリ(世界最古の国立大学だとか)、更に西暦1240年には同じくイタリアのシエナで大学が設立されたんだそうな。

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