ヨーロッパの歴史風景 中世編




西暦1087年、イングランド王ウィリアム2世(ルーファス)が即位した。(イギリス)


イングランド王ウィリアム2世(ルーファス)

イギリスのカンタベリー大聖堂にあるイングランド王ウィリアム2世のステンド・グラス イギリスの首都ロンドンから列車で南東に向かえば、1時間40分ほどで到着するのがイングランド南部の中心都市カンタベリーだね。その街のカンタベリー大聖堂の中に右の画像のステンド・グラスがある。これがイングランド王ウィリアム2世(通称ルーファス)を描いたものなんだそうな。

ウィリアム2世は、イングランド征服王ウィリアム1世の息子で、父王の死に伴い、西暦1087年にイングランド王に即位している。

他方で、父のウィリアム1世の領地だったフランス北部のノルマンディー公国については、兄のロバート(フランス風にはロベールと書くべきかな)が相続したんだそうな。

残る下の弟のヘンリーについては、どこかで領地を買う為のお金をもらったらしい。(この弟ヘンリーはそのままでは終わらず、後にイングランド王になっている。その話は別のページで書くつもりだけどね。)

ウィリアム2世に対する反乱

兄がノルマンディー公となり、弟がイングランド王となったことで、困ったのはノルマンディーとイングランドに領地を持つ家臣たちだった。というのも、片方に従えば他方の機嫌を損ねる可能性があったから。実はこの兄弟は昔からとっても仲が悪かったらしい。両方共に機嫌よく仕えることなんてとっても難しかったんだそうな。

しかも、イングランド王ウィリアム2世は人気のある支配者ではなかったらしい。無慈悲で派手で喧嘩早い性格だった。というわけで、家臣の中には、イングランドもノルマンディーも兄のロバートに統治してもらいたいと考える連中もいた。

フランス北部ノルマンディーにあるバイユー大聖堂

そして西暦1088年には、イングランド王ウィリアム2世に対する反乱が起こったんだ。その中心となったのは、先代のウィリアム1世征服王の異母弟でノルマンディーにあるバイユー大聖堂の司教オドだったらしい。(上の画像はバイユーの街とバイユー大聖堂の風景。ノルマン・コンクエストを描いたバイユー・タペストリーで有名だね。)

ノルマンディー公ロバートが迅速にイングランドに渡り、反乱軍の先頭に立てば王位を奪うことが出来たのかもしれないね。でも、ぐずぐずしていたロバートはイングランドに渡ることもできず、その間に反乱は鎮圧されてしまった。イングランド王ウィリアム2世の権威を高める結果になったわけだ。

イングランド王ウィリアム2世とスコットランド

他方で、イングランド王ウィリアム2世は、侵入してきたスコットランドの王マルカム3世の軍を西暦1091年に敗走させている。(ちなみに、スコットランド王マルカム3世は、シェイクスピアが描いたマクベスを殺した人物。)

それでもこりないスコットランド王マルカム3世は再びイングランドに侵入し、西暦1093年にはイングランド軍に待ち伏せされて敗死している。その後のスコットランド王家の混乱を収拾したのは、イングランド王ウィリアム2世の支援を受けたエドガー(敗死したマルカム3世の息子)だった。

イギリス北部スコットランドのエディンバラ城

スコットランド王エドガーは、イングランド王ウィリアム2世の宗主権を認め、その宮廷にも伺候したらしい。(上の画像はスコットランドのエディンバラ城の様子。)

イングランド王ウィリアム2世のその後

カンタベリー大司教だったアンセルムス(スコラ哲学の父)との関係には難しいものがあったし、西暦1096年にはウェールズに侵攻して失敗している。でも、そんなこんなでイングランド王ウィリアム2世の治世は概ね無難な状況だったのかな。

他方で、西暦1096年には兄のノルマンディー公ロバートは十字軍の遠征に出発している。その為の巨額の費用を賄う為に、ロバートはイングランド王ウィリアム2世にノルマンディー公国を担保に入れて資金を借りたらしい。

そして西暦1100年、イングランド王ウィリアム2世は狩猟を楽しんでいた。そこへ飛んできた一本の矢は、王の肺を貫いたらしい。狩に同行していた下の弟のヘンリーは直ちにロンドンへ急ぎ、そこでイングランド王ヘンリー1世として即位した。ちなみに、ウィリアム2世を死に至らしめたのは誰か、その死でメリットを得た人物ではないのかと、今も議論は続いている。

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