|
|
|
|
|
西暦1220年、イングランド北部の街ヨーク(イギリス)で、大聖堂(ミンスター)の建設が始まった。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
ヴァイキングによるキリスト教修道院の破壊 (ヨーク、イギリス)
今のイタリアの首都ローマから発してヨーロッパと地中海に覇権を確立した古代ローマ帝国は、ブリタニア(イギリス)に進出してロンドンを築き、更に北上してイングランド北部の街ヨークをも支配下に置いていた。当時はエボラクムという名で呼ばれていたイングランド北部の街ヨーク。時代は移ってアングロ・サクソン時代、ヨーク付近に多くの修道院が設立されるほどにキリスト教信仰の盛んな街だった。
ところが、8世紀にはヴァイキングの一派であるデーン人がヨーク付近を支配した。独自の宗教を信仰していたヴァイキングたちは、キリスト教の修道院や教会を略奪し、破壊してしまったんだ。
ノルマン貴族たちの信仰心と大聖堂建設
その後、1066年にイングランド王となったウィリアム(1世)征服王は、臣従を拒んでいたヨーク近辺のヴァイキング系貴族を打ち破り、彼らの土地をノルマン系の貴族たちに分け与えたんだそうな。
デーン系貴族たちと同じくヴァイキングの血を引きながらも、長くフランス北部ノルマンディに住んでいたノルマン系貴族たちはキリスト教に対する信仰心が篤く、ヨークにおけるキリスト教会も復興し始めたわけだ。
そして西暦1220年、ヨーク大聖堂(ミンスター)の建設が始まった。完成まで250年かかったというこの大聖堂は、イングランドでも最大のゴシック建築なんだ。(下の画像)
ところで、上の画像に写っている石柱は何だ ・・・。実はこの石柱、ヨークがエボラクムと呼ばれていた古代ローマ帝国時代のものなんだそうな。このヨーク大聖堂(ミンスター)の地下には、古代ローマ帝国時代の大広間があり、その大広間を取り囲む石柱の一つなんだそうな。
その大広間では、西暦306年に軍団がコンスタンティヌスをローマ帝国の皇帝に推戴したらしい。もちろん、彼が正式な古代ローマ帝国皇帝コンスタンティヌスとなるのはまだ先のことだったけど。
ついでながら、このヨーク、というよりも古代ローマ帝国時代のエボラクムはブリタニア(イギリス)北部の重要な要塞都市だったみたい。何人もの重要人物がここに来ているんだ。
例えば、ウェールズのケルト人の反乱を鎮圧したブリタニア総督アグリコラ、ハドリアヌスの長城(城壁)を築かせた皇帝ハドリアヌス、スコットランドのピクト人との戦った皇帝セプティミウス・セウェルス、ローマにカラカラ浴場を築いた皇帝カラカラ ・・・ などなど。
ヨーク大聖堂(ミンスター)の内部
そして下の画像がヨーク大聖堂(ミンスター)の内部。巨大な聖堂だけに、天井も高く、内部の空間も大きいよね。しかも、古いステンド・グラスなども多いんだ。
ちなみに、このヨーク大聖堂(ミンスター)の大司教なんだけど、イングランド南部にあるカンタベリー大聖堂の大司教に次ぐ地位をイングランドでは認められているんだそうな。西暦1354年のローマ教皇インノセント6世の決定によるらしいよ。
カンタベリーの大司教には、イングランドにローマ・カトリックを広めた聖アウグスティヌスや、スコラ哲学の父とされた聖アンセルムスなどがいるからね。ちなみに、ヨークの大司教の中には、ロンドン郊外のハンプトン・コート宮殿をイングランド王ヘンリー8世に献上したトマス・ウォルゼーがいるね。
ヨーク大聖堂(ミンスター)の聖歌隊席スクリーン
そして、ヨーク大聖堂(ミンスター)の中でも興味深いのが、下の画像にある聖歌隊席のスクリーンかな。
このスクリーンには、イングランド征服王ウィリアム1世からヘンリー6世までの15人のイングランド王の像がある。その中には、ロンドン塔に幽閉されて廃位されたリチャード2世やヘンリー6世も含まれているんだけどね。
ヨーク大聖堂(ミンスター)の影響
このイギリスのヨーク大聖堂(ミンスター)は、他国のゴシック様式の建物などにも影響を与えたらしい。例えば、ポルトガルのバターリャ修道院(勝利の聖母マリア修道院)の一部にはヨーク大聖堂(ミンスター)の影響が見られるんだそうな。
このバターリャ修道院はポルトガル王ジョアン1世が建立したんだけど、彼がカスティーリャと戦ってポルトガルの独立を守った際には、イギリスが支援していたからね。そんなことも関係していたのかも。
姉妹サイト ヨーロッパ三昧
このサイト「ヨーロッパの歴史風景」の本館が「ヨーロッパ三昧」です。イギリス・フランス・イタリア・スペイン・ギリシャ・トルコ・エジプト・ロシア・アゼルバイジャンなど25国45編の旅行記を掲載しています。こちらも遊びに行ってみてくださいね。
「ヨーロッパ三昧」のトップ・ページのURLは、 http://www.europe-z.com/ です。
|
Copyright (c) 2002-2011 Tadaaki Kikuyama
All rights reserved
管理・運営 あちこち三昧株式会社
このサイトの画像 及び 文章などの複写・転用はご遠慮ください。
|