ヨーロッパの歴史風景 中世編




西暦1199年、中世イタリアの塔の街サン・ジミニャーノが自治都市となった。


中世イタリアの塔の街サン・ジミニャーノ

日本人に限らずヨーロッパ人、更には世界中の人々が訪れるイタリアには、あちこちに人気の観光地があるね。その中でも私のお気に入りの一つが、中世イタリアの塔の街サン・ジミニャーノ(下の画像)なんだ。

丘の上に営まれた中世イタリアの塔の街サン・ジミニャーノを見上げた

標高 324mの丘の上に中世の塔が林立するこのサン・ジミニャーノ(その歴史地区は世界遺産にもなっている)は、西暦1199年にヴォルテッラ司教の支配を脱して独立の自治都市になっている。

街道と巡礼の街 サン・ジミニャーノ

サン・ジミニャーノの街のある丘には、紀元前3世紀頃から古代エトルリア人の集落があった。長い歴史のある街だったわけだ。とはいえ、その当時も古代ローマ帝国時代もさほど繁栄した街ではなかったらしい。

ところが、西ローマ帝国が滅亡した後、5世紀末にサン・ジミニャーノの街に発展のチャンスが訪れた。古代ローマ帝国の時代においては、アルプス以北とローマとを結ぶルートは、ボローニャからローマへと向かうエミリア街道だった。ところが、東ゴート族の王テオドリックラヴェンナを中心とする支配を確立して後、南北を結ぶルートがイタリア半島の西岸に移り、サン・ジミニャーノはその重要な経由地となったらしい。

イタリア北部略図、サン・ジミニャーノと周辺

サン・ジミニャーノを経由するフランチジェーナ街道は、イングランド南部カンタベリーからローマにまで続く街道だった。その道を歩いて多くの巡礼たちが旅をしたらしい。例えば、西暦990年にはカンタベリー大司教シゲリックがローマに赴き、教皇から大司教の肩衣を授けられたそうな。

中世の街サン・ジミニャーノの繁栄

西暦1148年にはサン・ジミニャーノの街でドゥオモ(聖母被昇天教会)が建立されている。そのドゥオモは街の名の元となった聖ジミニャーノに捧げられた教会であり、聖女フィーナの祭壇も設けられている。そんなわけで、ローマに赴く巡礼たちは益々サン・ジミニャーノに立ち寄ることになった。

加えて、塔の街サン・ジミニャーノのある丘の斜面では、特産品の生産も行われていた。まずはサフラン。料理の香味料(私の大好きなスペイン南部アンダルシア地方の名物料理パエリャには必須)としても使われるし、衣類の染料としても重要な商品だったそうな。

そして丘の斜面の畑で栽培されるブドウの実から作られる白ワイン「ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ」(西暦1276年の文書にも記載されている)も重要な商品だった。西暦1300年にサン・ジミニャーノの街に来たことのあるダンテも、ローマのサン・ピエトロ大聖堂ピエタを残したミケランジェロもこの白ワインが大好きだったとか。

中世イタリアの塔の街サン・ジミニャーノ特産の白ワイン「ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ」のエチケット

上の画像は今も生産されている白ワイン「ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ」のエチケットなんだ。私の大好きな白ワインの一つでもある。ちなみに、サン・ジミニャーノの近くでもあるキャンティフィレンツェシエナの間)は名高い赤ワインの産地だけど、中世においてはキャンティも白ワインを生産していたんだそうな。

そんなこんなで、西暦1199年に自治都市となったサン・ジミニャーノは、街道と巡礼の街として繁栄していったわけだ。

フィレンツェに従属したサン・ジミニャーノ

ところが、サン・ジミニャーノの街の人々は皇帝派と教皇派に分かれて争った。更には有力な貴族たちも互いに争った。一時期は 70本を越える塔(現存するのは 14本)を街に築いたのは、そんな人たちだったそうな。

更には西暦1347年にフランス南部プロヴァンス地方港町マルセイユに上陸した黒死病(ペスト)が翌年にはイタリアでも猛威をふるい、サン・ジミニャーノの人口の半分が失われてしまった。その結果、西暦1353年にはサン・ジミニャーノはフィレンツェに従属し、フィレンツェはこの街をライバルのシエナに対する前進基地として使ったんだそうな。

丘の上に営まれた中世イタリアの塔の街サン・ジミニャーノの城壁に残るサン・ジョヴァンニ門

上の画像は、そんな歴史を持つサン・ジミニャーノの街に今も残る城壁のサン・ジョヴァンニ門。西暦1262年に築かれた城門らしいよ。世界遺産ともなっている中世の塔の街サン・ジミニャーノ。いつか再び歩いてみたいね。

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