ヨーロッパの歴史風景 近代・現代編




西暦 1945年2月、コルマールの戦いによってアルザス地方からドイツ軍が駆逐された。(フランス)


連合国軍によるアルザス地方の街ストラスブールの解放

西暦1944年6月にフランス北部ノルマンディー地方に上陸し、イングランド征服王ウィリアム1世ゆかりのバイユーカーンを解放した連合国軍。8月にはフランスの首都パリが解放され、ド・ゴール将軍たちが凱旋門をパレードしたわけだ。

そして西暦1944年11月、アルザス地方の街ストラスブールが連合国軍によって解放された。下の画像にあるストラスブール大聖堂の尖塔には、フランスの三色旗が掲げられた。

フランス東部アルザス地方の街ストラスブールにあるストラスブール大聖堂の尖塔を見上げた

ちなみに、このストラスブール大聖堂の尖塔は、歴史の中でなかなか忙しい役回りを演じたみたい。フランス革命の際には革命の主役である平民のシンボルとなっていたフリジア帽が尖塔にかぶせられた。普仏戦争でフランスが敗れた際には尖塔の上に白旗が掲げられた。

第一次世界大戦末期にドイツ帝国が崩壊し、急進派が独立したアルザス・ロレーヌ共和国を宣言した際には赤旗が翻った。その数日後にフランス軍がストラスブールに接近した際にはフランスの三色旗が翻った。なんせ高さ142メートルを誇り、天気が良ければ 30kmのところからも見えるというストラスブール大聖堂の尖塔だからね。

コルマールに橋頭堡を保ったドイツ軍

話を第二次世界大戦の頃に戻そう。アルザス地方の中心都市ストラスブールを解放した連合国軍ではあったけれども、ドイツ軍はアルザス地方南部の街コルマールとその周辺に橋頭堡を保ったらしい。そのコルマールの橋頭堡を守るドイツ軍部隊には、ライン川東岸から橋を通じて物資が補給されていたんだ。

フランス東部アルザス地方の街コルマールの雪とクリスマス・ツリー

ちなみに、その冬は異常な寒さで雪も多かったんだそうな。上の画像は雪のコルマールとクリスマス・ツリーの様子。サイトの読者 Kaoringo さんから頂戴した画像なんだ。

ドイツ軍によるストラスブール奪還作戦

ストラスブールは失ったもののアルザス地方南部のコルマールに橋頭堡を保ったドイツ軍は、年明けの西暦1945年1月1日から大規模な反攻を始めたんだ。北側と南側からストラスブールの奪還を目指し、多数の戦車や飛行機をも使って連合国軍に対して猛攻を加えたらしい。

他方の連合国軍はパリ解放以後もフランス各地を解放する作戦を続けてきて、兵力も損耗し物資も不足していたんだ。しかも、部隊の一部をアルデンヌ方面のバルジ作戦に向かわせた為に、アルザス地方での兵力も不足していたんだそうな。

フランス東部アルザス地方の街ストラスブールにあるクヴェール橋

でも、ドイツ軍の反攻に際し、慌てて増援部隊を送り込み、かろうじてストラスブールを守り抜くことが出来たらしい。(上の画像はストラスブールにあるクヴェール橋付近。観光客に人気のプチ・フランス地区の近くにある。ストラスブールを流れるイル川は、ライン川に合流している。)

コルマールの戦いによってドイツ軍をアルザス地方から駆逐

アルザス地方におけるドイツ軍の反攻が終息した西暦1945年1月下旬、今度は連合国軍が攻勢を始めた。その目標はコルマールと周辺を固めたドイツ軍の橋頭堡だった。この橋頭堡があるかぎりはドイツ軍がライン川西岸で攻勢をかける懸念が残り、連合国軍がライン川東岸に侵攻することもできないからね。

やがて2月8日には連合国軍がコルマールの街を解放し、その翌日にはライン川西岸のドイツ軍を殲滅した。他方で、ライン川東岸に撤退したドイツ軍は橋を爆破した。

フランス東部アルザス地方の街コルマールにあるプチ・ヴェニスの雪景色

上の画像はコルマールの街の人気の観光スポットとなっているプチ・ヴェニスの雪景色(読者の Kaoringo さんから戴いた画像)なんだけど、戦いが終わったコルマールの街もこんな風に静かだったかな。

こうしてコルマールの戦いによってドイツ軍をアルザス地方、ライン川西岸から駆逐した連合国軍は、いよいよライン川東岸に侵攻し、ドイツ領内に進んでいくわけだ。

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