ヨーロッパの歴史風景 近代・現代編




西暦 1814年、フランス皇帝ナポレオンが退位してエルバ島に流され、ブルボン家のルイ18世による王政が復活した。


ナポレオンに対して立ち上がったヨーロッパ諸国

フランス皇帝ナポレオンが冬将軍に敗れてモスクワ遠征が失敗に終わった翌年の西暦1813年、第6次対仏大同盟が結成され、再びヨーロッパに戦雲が沸き起こった。

新たに動員した30万人の軍を率いたナポレオンは、リュッツェン、バウツェンでプロイセン・ロシア連合軍を撃ち破り、6月にはプロイセン・ロシアと休戦条約が成立した。ところが、オーストリアとスウェーデンもフランスに対して立ち上がり、戦いが再開したんだ。

旧東ドイツの古都ドレスデンはエルベのフィレンツェとも称された

旧東ドイツを主な舞台とする戦いは、まずはドレスデンでナポレオンが勝利を得た。(上の画像はエルベのフィレンツェとも称されるドレスデンの街。)ところが、ライプツィヒの戦いでは優勢な敵軍に抗しきれず、フランス軍は退却。ナポレオンはフランスの首都パリに戻って行った。

追い詰められたフランス皇帝ナポレオン

他方、西暦1808年からゲリラ戦に立ち上がった民衆がフランス軍を悩ませていたスペインでは、フランス軍がイギリス軍に敗北。フランスはスペインの支配を失ってしまった。(下の画像はスペインの首都マドリッドの王宮。西暦1764年に建てられたもの。)

スペインの首都マドリッドの王宮

更にはナポレオンの妹と結婚し、イタリア南部のナポリ王国を与えられていたミュラは、ナポレオンを見限って対仏大同盟の側に寝返ってしまった。かくしてフランス軍はベルギーやオランダからも退却を余儀なくされた。

そんな状況で対仏大同盟側は皇帝ナポレオンに和平を提案してきた。フランス国内に攻め込み、相手の本拠地で戦うことによって生じる損害を怖れたのか。ところが、ナポレオンはこの和平提案を拒否した。結果的には帝位を維持する最後のチャンスを逸してしまったわけだ。

皇帝ナポレオンの退位

西暦1814年、いよいよ対仏大同盟軍はフランスへと進撃を始めた。その兵力は25万人にも達していた。対するナポレオンの兵力はわずかに6万。圧倒的に不利な戦いを強いられたわけだ。

それでもナポレオンは勝ち続けた。シャンポベール、モンミライユ、モントローなどで対仏大同盟軍に連勝。ところが、運命のいたずらか、ナポレオンの手紙が対仏大同盟軍の手に渡ってしまった。

ナポレオン軍の動きを知った対仏大同盟軍は、西暦1814年3月31日にフランスの首都パリを占領。ロシア軍の砲兵隊はパリを見下ろすモンマルトルの丘に大砲を並べたらしい。(下の画像はモンマルトルの丘から眺めたパリの様子。)

モンマルトルの丘から眺めたフランスの首都パリ

皇后マリー・ルイーズと兄のジョゼフが既にパリを脱出していることを知ったナポレオンは、パリの南東にあるフォンテーヌブロー宮殿に入った。彼はまだ戦うつもりだった。

しかし、4月1日にはタレーランを中心とするフランス臨時政府がパリで成立。翌日には元老院が皇帝ナポレオンの廃位を宣言した。4月3日には立法院も彼の廃位を宣言するに至った。加えて、ナポレオンが頼りにしていたマルモン元帥は敵軍に降伏。他の元帥たちも彼に退位を勧めざるを得なくなった。かくしてフランス皇帝ナポレオンも退位を受け入れざるを得なくなった。西暦1814年4月6日のことだった。

エルバ島に流されたナポレオン、ブルボン王政の復活

退位したナポレオンは、地中海に浮かぶエルバ島に流された。彼の生まれ故郷であるコルシカ島とイタリア本土との間にある小さな島だった。(下の略図を参照。)

退位したナポレオンが流されたエルバ島の位置

彼が去った後、フランス革命以後の混乱の後始末が行われた。まずはフランスにおいては、ブルボン家の王ルイ18世が即位した。王政復古だね。

革命の後にフランス軍が征服したコート・ダジュールの街ニースはサルディニア王家(元のサヴォワ公家、後の統一イタリア王国の王家)に返還される。モナコ大公家(グリマルディ家)モナコ公国に復帰する。もちろん他にも後始末は色々と必要だった。

でも、ナポレオンの物語はここでは終わらない。皆さん、ご承知の通りなんだけどね ・・・ 。

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