ヨーロッパの歴史風景 近代・現代編




西暦 1861年、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世を国王とする統一イタリア王国が成立。


統一イタリア王国の成立と初代国王ヴィットリオ・エマヌエーレ2世

フランス皇帝ナポレオン3世との協力によって、西暦1859年にはロンバルディア地方(中心都市はミラノ)やトスカナ地方をオーストリアから獲得したサルディニア王国。その協力の見返りにコート・ダジュールの街ニースをフランスに割譲し、モンテカルロのカジノで名高いモナコ公国の保護権もフランスに譲ることになったんだけど ・・・ 。

そのフランスに譲られたニースの旧市街で生まれ育ったジュゼッペ・ガリバルディの活躍により、西暦1860年にはシシリアやナポリなどのイタリア南部をも獲得したサルディニア王国。古代から続くイタリアの街道の街ボローニャヨーロッパ最古の大学で名高い)も住民投票の結果として西暦1860年にサルディニア王国に帰属している。そのサルディニア王国を基盤として、西暦1861年には統一イタリア王国が成立した。

イタリアの首都ローマのヴェネツィア広場にあるヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂

その統一イタリア王国の初代国王となったのは、サルディニア王家(かつてのサヴォワ公家)のヴィットリオ・エマヌエーレ2世だった。上の画像はイタリアの首都ローマヴェネツィア広場にあるヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂の様子。(但し、ローマが統一イタリア王国に帰属するまでには、まだ先に紆余曲折があるんだけど ・・・ 。)

イタリア統一の英雄ガリバルディによるローマ獲得の挫折

サルディニア王国を中心とする統一イタリア王国の成立は、世界のカトリックの人々に大いなる懸念を巻き起こしていた。即ち、ローマ教皇を中心とするヴァティカンが統一イタリア王国に併合されるのではないかと危惧されたんだ。

そんなローマを守る為にフランス軍部隊がローマに駐屯していた。しかも、統一イタリア王国の中にもローマ併合に反対する勢力があり、他方で国王はローマよりも先にオーストリアの支配下にあったヴェネツィアの併合を優先すべきだと考えていたらしい。

そんな状況下で動いたのが、既にイタリア統一の英雄となっていたジュゼッペ・ガリバルディだった。西暦1862年、彼はシシリアで義勇兵を集め、イタリア本土に渡り、ローマを目指して北上していったんだ。しかし、ローマ併合は時期尚早と考えた統一イタリア王国の軍がガリバルディ軍のローマ進撃を阻止。銃撃戦によって負傷したガリバルディも捕えられてしまった。(やがて世論に守られたガリバルディは自由を回復するんだけど。)

イタリアの首都ローマのヴァティカンにあるサン・ピエトロ大聖堂を遠望

上の画像はイタリアの首都ローマにあるヴァティカンのサン・ピエトロ大聖堂を遠望した眺め。ジュゼッペ・ガリバルディにとっても、統一イタリア王国にとっても、まだローマは遠かったんだね。

統一イタリア王国の首都をトスカナの古都フィレンツェに

西暦1865年、統一イタリア王国の政府がトスカナ地方の古都フィレンツェに移った。政府の中心はヴェッキオ宮殿に置かれたらしい。王国の議会もフィレンツェで開催されており、この時点での実質的な王国の首都はフィレンツェということになる。(下の画像はフィレンツェのボボリ庭園にあるカフェから眺めたフィレンツェの風景。)

イタリアのトスカナ地方の古都フィレンツェを遠望

ちなみに、トスカナ地方のフィレンツェといえば、名家メディチ家の本拠だよね。でも、西暦1737年にはメディチ家最後のトスカナ大公が亡くなった。以後のトスカナ大公位はハプスブルク家に受け継がれてきたんだ。

統一イタリア王国によるヴェネツィアの併合

そのハプスブルク家のオーストリアに対して、次第に台頭していたのがプロシアだった。そして西暦1866年、プロシアとオーストリアが戦う普墺戦争が起こった。オーストリアからのヴェネツィア獲得を目指す統一イタリア王国は、プロシアと同盟して参戦した。

でも、イタリア国王ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のイタリア陸軍はオーストリア陸軍に敗れ、海戦においてもイタリア艦隊は敗れた。英雄ガリバルディの義勇兵はオーストリア軍を撃ち破ったらしいけどね。

イタリアの水の都ヴェネツィアの朝

そんなこんなで統一イタリア王国の正規軍は勝利を得ることはなかった。が、同盟国のプロシアがオーストリアに対して勝利を得たことにより、統一イタリア王国はヴェネツィアを獲得することができたんだ。ヴェネツィアで実施された住民投票でイタリア王国への併合が支持され、その結果に従って併合が行われている。西暦1866年のことだった。

でも、「永遠の都 ローマ」はまだ統一イタリア王国の外にあった。イタリア統一の物語には、まだ続きがあるんだ。

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