ヨーロッパの歴史風景 中世編




西暦1147年、初代ポルトガル王アフォンソ1世がリスボンを占領した。


初代ポルトガル王アフォンソ1世がリスボンを占領

ポルトガル首都リスボンは、古代ローマ帝国のカエサル(シーザー)によってローマ帝国の都市として認められたという長い歴史を持つ街なんだそうな。でも、西暦711年に北アフリカから侵入してきたイスラム教徒によって、リスボンも西暦719年に征服されている。

そんなイスラム教徒支配下にあったリスボンの街を占領したのが、初代ポルトガル王アフォンソ1世だった。西暦1147年のこと。リスボン攻略においては、イングランドやドイツなどから出航してきた第2回十字軍艦隊の支援を受けたんだそうな。

ポルトガルの首都リスボンのアルファマ地区の路地

そんな歴史あるリスボンの街なんだけど、西暦1755年にリスボン地震によって壊滅的に破壊され、大規模な復興事業によって築かれたのが今の街並みであり、基本的に昔の面影を残してはいないらしい。但し、上の画像にあるリスボンのアルファマ地区には、中世の昔からの街並みが残っているんだそうな。ちなみに、イスラム教徒支配下のリスボンの中心が、上の画像にあるアルファマ地区だったとか。

ポルトガル王アフォンソ1世にシントラのイスラム教徒が降伏

初代ポルトガル王アフォンソ1世がリスボンの街を占領した後、その近くにあるシントラのイスラム教徒が降伏したらしい。下の画像はシントラの街を見下ろすムーア人の城跡の様子なんだけど、イベリア半島に上陸したイスラム教徒が8世紀に築いた城なんだそうな。

ポルトガルのシントラの街に残るムーア人の城跡

ちなみに、上の画像にあるムーア人の城跡やシントラの王宮などは、世界遺産にも指定されているんだ。

アフォンソ1世によるオビドスの征服

初代ポルトガル王によるレコンキスタ(国土回復運動)は更に続く。翌年の西暦1148年には、アフォンソ1世はオビドスの街を征服している。

ポルトガルのオビドスの街の中世の城壁

上の画像は今のオビドスの街を囲む中世の城壁なんだ。ポルトガル王による征服の後もイスラム教徒による襲撃に対する守りを固める為に、オビドスを取り囲む城壁が強化されたらしい。但し、今のオビドスに残る城壁は後にカスティーリャとの戦いの時代に強化されたものらしいけどね。

アフォンソ1世によるポルトガル王国の誕生

ところで、初代ポルトガル王となったアフォンソ1世なんだけど、彼はポルトカレ伯家に生まれている。西ゴート王国古都トレドを征服したカスティーリャ王アルフォンソ6世に従っていたアンリ・ド・ブルゴーニュ(フランス東部ブルゴーニュ地方の領主ブルゴーニュ公家の縁者だったそうな)は、カスティーリャ王の娘と結婚し、ポルトカレ伯となった。その二人の間に西暦1109年に生まれたのが、このページの主人公のアフォンソ1世だった。

ポルトカレ伯となったアフォンソ1世は、西暦1129年にはポルトカレ公となる。若いポルトカレ公は所領の南に勢力を持っていたイスラム教徒たちと戦い、やがて西暦1139年にオーリッケの戦いで大勝し、臣従する人々の支持を得て初代ポルトガル王を称したんだ。

ところが、ポルトカレ伯家を家臣とみなしていたカスティーリャ王アルフォンソ7世は、ポルトガル王を称したアフォンソ1世の動きを反逆だとしたわけだ。アラゴン王と同盟したポルトガル王とカスティーリャ王との戦いが続いた。

やがて西暦1143年、両国の間に和平条約が成立し、カスティーリャはポルトガルを独立した主権を持つ王国であると認めたんだそうな。ポルトガル王アフォンソ1世がリスボン、シントラ、オビドスなどを占領したのは、その後のことだった。

イタリアのローマのヴァティカンにあるサン・ピエトロ大聖堂の内部

現代の国際社会では新しい国の成立には諸国の承認が必要となるよね。中世ヨーロッパにおいては、ポルトガル王国が公式に成立したとされる為には、ローマに拠点を置く教皇の承認が必要とされていたんだ。(上の画像はイタリアの首都ローマにあるヴァティカンのサン・ピエトロ大聖堂の内部の様子なんだ。)

初代ポルトガル王アフォンソ1世は西暦1143年にはローマ教皇に対して臣従を表明している。その後もローマ教皇に様々な財産や特権を献納したらしい。そして西暦1179年のこと、ローマ教皇アレクサンデル3世がアフォンソ1世をポルトガル王と認め、独立のポルトガル王国の成立を承認したんだそうな。

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