ヨーロッパの歴史風景 近世編




西暦1606年頃、スチュアート朝イギリスで、ジェームズ1世がビール税を導入した。


イギリス人は昔からビールが好き !!

イギリスの首都ロンドンへ行き、「飲む」といえば頭に浮かぶのは「パブ」。そして、そこで飲むのはビール。私はロンドンで7年余り暮らしたけど、私の付き合ったイギリス人は、とにかくビールが好きだった。いつでもビール。しかも、大量に飲む。それも、ずーっと飲むんだよね。彼らに付き合うのも大変だった。

で、イギリスの人々は昔からビールを好きだったのか。答はイエス。じゃ、いつ頃から、と尋ねられると困ってしまう。調べてみたんだけど、わからなかったんだ。

イギリスの首都ロンドンにあるパブ「ダーティ・ディックス」の店内の様子

ちなみに、上の画像はイギリスの首都ロンドンにあるパブ「ダーティ・ディックス」の店内。このパブの歴史は18世紀まで遡るみたいだよ。

イギリスへのホップの渡来は15世紀

しかし、イギリスのビールにホップが使われるようになったのは、比較的に新しく15世紀のことらしい。南ドイツあたりでは、8世紀頃からビールにホップが使われるようになったらしいんだけどね。

ちなみに、ビールにおけるホップの意味はといえば、まずはその苦味がビールの味を引き立てるということ、しかもホップを入れるとビールが長持ちするということなんだそうな。

イギリスの首都ロンドンにあるパブ「オールド・ドクター・バトラーズ・ヘッド」

ホップの話とは関係ないんだけど、上の画像にあるのはロンドンのパブ「オールド・ドクター・バトラーズ・ヘッド」。このパブの歴史は西暦1610年にまで遡るらしいよ。

スチュアート朝ジェームズ1世によるビール税の導入

ともかく、イギリスの人々は昔からビールが好きだったみたい。ところが、その風向きが変わり始めたのが、あの女王エリザベス1世が亡くなり、西暦1603年にイギリス北部のスコットランドからやってきたイングランド王ジェームズ1世(スコットランド王としてはジェームズ6世)がイングランドにおけるスチュアート朝王家を創始して後のこと。

そのジェームズ1世がビール税を導入しちゃったんだ。ジェームズ1世の母親の元スコットランド女王メアリー・スチュアートをイングランドのエリザベス1世が処刑してしまったことへの復讐でもないだろうし、スコットランド名産のスコッチ・ウィスキーのイギリスでの販売促進が目的というわけでもないだろうけどね。いずれにせよ、ビール大好きのイギリスの人々には腹立たしいことだっただろうね。

ついでながら、このイングランド王ジェームズ1世(スコットランド王ジェームズ6世)は、エリザベス1世に処刑された母親の遺体をロンドンのウェストミンスター寺院に移してあらためて葬ったらしい。王としてはわからないけど、息子としてはいいやつだったかもしれないね。

ウィリアム3世によるジンの減税

イギリスのジン「ビフィーター」のボトル その後、名誉革命の際にオランダからやってきて王となったウィリアム3世がイギリスのビールに追い討ちをかけた。ウィリアム3世は蒸留酒に関する税金を軽減したんだ。つまり、イギリスの人々は以前よりも安くジンを飲めるようになったわけだ。

ジンならば、手っ取り早くしっかりと酔うことが出来る。というわけで、以後のイギリスでは人々はジンをガブ飲みするようになったらしい。

右の画像は、イギリスのジン「ビフィーター」のボトル。ビフィーターはロンドン塔の衛兵だよね。ボトルに描かれているビフィーターの背景には、イギリスを代表する観光名所のひとつであるテムズ川のほとりのロンドン塔が描かれている。

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