ヨーロッパの歴史風景 近世編




西暦1549年、スペインのバスク地方生まれのフランシスコ・ザビエルが日本でキリスト教の布教を始めた。


日本に来るまでのフランシスコ・ザビエル

現在の日本には100万人を超えるキリスト教徒がいるらしい。カトリック、プロテスタント、正教会、その他の宗派を合わせてのことだけどね。(ちなみに私はキリスト教の教会が運営する幼稚園に通ったんだけど、両親と同様に臨済宗の信者 ・・・ ということになっているみたい。

平戸に立つフランシスコ・ザビエルの像 ところで、日本へのキリスト教の伝来なんだけど、5世紀に中国を経由してネストリウス派のキリスト教が伝えられたとの話もある。でも、確実なところでは、西暦1549年に来日したフランシスコ・ザビエルによる布教によるみたい。(右の画像は長崎県平戸市に立つ彼の像。)

そのフランシスコ・ザビエルなんだけど、西暦1506年にスペインのバスク地方で生まれている。但し、当時のバスク地方はナバラ王国という独立国だったんだけど、西暦1515年にスペインによって併合されている。(余談ながら、ハプスブルク家のカルロス1世、後の皇帝カール5世がスペイン王となったのは、その翌年の西暦1516年のこと。)

フランシスコ・ザビエルは西暦1525年にフランスの首都パリに留学している。そこで出会ったのが、彼と同じバスク地方出身のイグナチオ・デ・ロヨラだった。それが彼にとっての運命の出会いとなったんだ。

ザビエルはパリ大学において哲学を学んでいた。でも、ロヨラとの出会いによって、キリスト教の神に仕えることを志すようになった。そして西暦1534年、パリを見下ろすモンマルトルの丘において、ロヨラを中心とする仲間とともにイエズス会を設立したんだ。

鹿児島で布教を始めたフランシスコ・ザビエル

キリスト教の海外での布教を目指すイエズス会の設立に参加したフランシスコ・ザビエルは、西暦1541年にポルトガルの首都リスボンから出航した。ポルトガル王の要請により、インドのゴアで布教を行うためだった。西暦1542年にゴアに到着した彼は、周辺の各地で布教を行っている。

そして西暦1547年、布教活動の拠点の一つだったマラッカにおいて、第2の運命の出会いがあった。鹿児島生まれの日本人アンジロウとの出会いだった。かくして日本におけるキリスト教の布教を行うことを目指した彼は、西暦1549年に鹿児島に到着した。

鹿児島で見た日本人僧 忍室と対話するフランシスコ・ザビエルのレリーフ

薩摩を支配していた島津貴久の許しを得て、フランシスコ・ザビエルは鹿児島において布教活動を始めた。しかし、時には仏教の僧侶と宗教について論争したらしい。しかし、鹿児島にあった島津家の菩提寺である福昌寺の住職の忍室とは、親しい関係を築いたらしい。(上の画像は鹿児島にあるザビエル教会で見たレリーフなんだけど、忍室と語り合うザビエルを描いている。)

平戸・山口・京都を訪れたザビエル

しかし、西暦1550年には彼は鹿児島を離れ、長崎県の平戸において布教を行っている。その年の11月には中国地方の大大名である大内義隆の本拠地である山口を訪れている。更に翌年の西暦1551年には京都に到着。日本全土におけるキリスト教の布教の許しを得る為に後奈良天皇や足利義輝への謁見を求めている。

しかし、天皇や足利将軍に会うことは出来なかった。やむなく京都を去ったフランシスコ・ザビエルは、西暦1551年春にはまたもや山口に姿を見せ、多くの贈り物と共に大内義隆に謁見し、キリスト教の布教の許しを得た。かくして彼は山口の街の井戸の傍らで人々に神の道を説いたらしい。(下の画像は山口のザビエル記念聖堂にある井戸の傍らに立つ彼の像。)

山口市のザビエル記念聖堂の前の井戸端で説教をするフランシスコ・ザビエルの像

山口での布教によって数百人もの人々をキリスト教に改宗させることができた。しかし、山口での布教活動を別の宣教師に委ね、ザビエルは豊後(今の大分県)に赴いた。そこで彼は九州の雄 大友義鎮(宗麟)の支援を得て、布教活動を行っている。

その後のフランシスコ・ザビエル

西暦1552年、ザビエルはいったんゴアに戻っている。でも、日本におけるキリスト教の布教を放棄したわけではなかった。仲間の宣教師を日本へ送り込み、他方で自らは中国に向かった。日本での布教を加速する為には中国での布教が効果的だと考えたらしい。ところが、彼は中国での布教の許しを得る前に病死してしまった。西暦1552年12月のことだった。

志半ばで病没したフランシスコ・ザビエルなんだけど、彼は日本各地に足跡を残している。彼にゆかりの土地には、彼の名を冠した教会や聖堂なども設立されているんだ。鹿児島のザビエル教会、山口のザビエル記念聖堂、平戸のザビエル記念教会(その様子が下の画像)などなど。

平戸ザビエル記念教会

西暦1619年、フランシスコ・ザビエルは福者とされた。更に西暦1622年には彼は聖人の列に加えられている。彼はまたカトリックにおいては、日本の守護聖人にもなっているんだそうな。

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