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ベルギーで改革を始めたハプスブルク家の皇帝ヨーゼフ2世西暦1700年、ハプスブルク家のスペイン王カルロス2世が亡くなり、フランス王ルイ14世太陽王の孫アンジュー公フィリップがスペイン王フェリペ5世として即位した。それを契機として起こったスペイン継承戦争の幕引きとして西暦1713年に締結されたユトレヒト条約・ラシュタット条約により、ネーデルラント南部（今のベルギー）はオーストリアのハプスブルク家に帰属することになったんだ。他方でオーストリアのハプスブルク家では、人気のあった女帝マリア・テレジアが西暦1780年に亡くなり、その息子の皇帝ヨーゼフ2世によって継承された。そして啓蒙専制君主とされる皇帝ヨーゼフ2世は、このベルギーにおいて改革を始めたわけだ。（下の画像の右側に見えているのは、ベルギーの首都ブリュッセルのグラン・プラスにある王の家。ハプスブルク家の皇帝カール5世にゆかりの建物なんだそうな。） 
皇帝ヨーゼフ2世のベルギーにおける改革は、中央集権化と近代化を軸とするものだった。まずは中世からの長い歴史を持つ州を解体して近代的な地方行政区に再編した。次いでカトリックが多数派を占めるベルギーにおいて、政治・行政・教育などと宗教を分離した。更には統治の効率化の為に行政の為の言語としてドイツ語を導入しようとしたらしい。
反乱、独立、そしてベルギー合衆国ハプスブルク家の皇帝ヨーゼフ2世による改革は、ベルギーの人々の反発を惹き起こした。聖職者もブルジョアも、保守派も進歩派も皇帝の改革に反対したらしい。そして西暦1789年、ブリュッセルの弁護士だったアンリ・ファン・デル・ノートがベルギーの北のオランダ領内で小さな軍隊を組織し、ベルギー領内に侵攻してターンハウトの街を占領した。更にはその街の近くでオーストリア軍を撃ち破り、次第に支配地域を広げていった。 その年の11月下旬、とうとうハプスブルク家の総督夫妻（皇帝ヨーゼフ2世の妹とその御主人）がブリュッセルから逃げ出していった。残されたオーストリアの兵士たちは、アントワープの城砦に籠城したらしい。 
上の画像はそのアントワープの街にあるノートルダム大聖堂の内部の様子なんだ。この画像の奥の祭壇にはバロックの画家ルーベンスの絵「聖母被昇天」があるんだけど、この大聖堂の中ではその他にも数点のルーベンスの絵を見ることができるんだ。
ベルギー合衆国の崩壊とフランスによる併合こうしてオーストリアのハプスブルク皇帝家の支配から脱したベルギー合衆国が成立したわけだ。ところが、ベルギーの人々の間では路線の対立が先鋭化し、内戦の寸前にまで至ってしまった。オランダ領内で軍隊を組織してベルギー領内に侵攻したブリュッセルの弁護士アンリ・ファン・デル・ノートをリーダーとする保守派が多数派を占めていた。しかし、テルモンドの弁護士だったヤン・フラン・フォンクをリーダーとする進歩派も一定の勢力を保っていたらしい。 他方でオーストリアのハプスブルク家では、ヨーゼフ2世が亡くなり、弟のレオポルト2世が皇帝となっていた。皇帝レオポルト2世はオーストリア軍をベルギーに送り込み、西暦1790年の12月にはベルギー全土を支配下に回復してしまった。ベルギー合衆国は1年も経たずに倒されてしまった。 ベルギーにおける支配を回復したオーストリアのハプスブルク皇帝家に対して敵対していたのがフランス革命によって成立したフランス共和国だった。革命フランスにとってはハプスブルク家に支配されるベルギーは敵地に過ぎなかった。西暦1792年には革命フランス軍がオーストリア軍を撃ち破り、ベルギーはフランス軍の占領下に入ったんだ。 その翌年の西暦1793年にはオーストリア軍がフランス軍を撃ち破り、ベルギーを奪還している。ところが、西暦1794年にはオーストリア軍はフランス軍に敗れ、ベルギーは再びフランス軍に占領されている。その翌年にはベルギーはフランスに併合されてしまった。
ベルギーを支配したフランス帝国とオランダやがて西暦1804年にはフランス皇帝ナポレオンが誕生し、ベルギーはフランス帝国の一部となった。ところが西暦1815年にはベルギーのブリュッセル郊外にあるワーテルローでナポレオンが敗れ、彼のフランス帝国は解体されることになる。（下の画像はイギリスの首都ロンドンにあるマダム・タッソーで見たナポレオンの蝋人形。）
ところが、それでもベルギーの独立はかなわなかった。フランス革命とナポレオン戦争の後の処理を定めたウィーン会議の結果、今のベルギーは先に独立を果たしていたオランダと統合されたんだ。でも、オランダによってベルギーが統治されたというのが実態だったけど。
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