ロンドンで法律を学んたウェールズの少年オーウェン・グリンドゥールイギリスの首都ロンドンに来る海外からの観光客がまず食べるものといえば、イングリッシュ・ブレックファストとフィッシュ・アンド・チップスかな。下の画像は、私が気に入りのフィッシュ・アンド・チップスを食べるのに大好きな場所なんだけど、ロンドンにある法律学校グレイズ・インの庭なんだ。
私のようにフィッシュ・アンド・チップスを食べるためだけにこの庭に入り込む不埒な人間は別にしても、このグレイズ・インのようなロンドンの法律学校には、イギリス各地や世界各国から若者たちが「勉強」に来るんだろうね。
ウェールズに戻ったオーウェン・グリンドゥール法律学校で学んだウェールズ人オーウェン・グリンドゥールは、イングランド王の軍に入り、スコットランドとの国境近くで軍務についたこともあった。その後、西暦1390年頃にはウェールズに戻り、親から受け継いだ土地で平和に暮らしていたらしい。ところが、彼の土地に隣接する所領を持つイングランド貴族との間で争いとなり、その貴族に土地を奪われそうになった。そこでオーウェン・グリンドゥールは訴えを起こしたんだそうな。ところが、相手の貴族はリチャード2世をロンドン塔に幽閉してイングランド王となったヘンリー4世の親しい仲間だったそうな。その結果、オーウェン・グリンドゥールは土地に関する訴訟に敗れてしまったんだ。
他方で、ヘンリー4世によってイングランド王位を奪われたリチャード2世には、少なからぬ支持者がいた。そんなリチャード2世支持者が西暦1400年にイングランド北西部にあるチェスターで暴動を起こした。(上の画像はチェスターのイーストゲートの上から眺めた通りの様子。)
ウェールズに広がった反乱オーウェン・グリンドゥールのウェールズ反乱軍は西暦1400年の秋から冬にかけてイングランド軍から勝利を得た。そして西暦1401年には反乱がウェールズ全体に広がっている。特にウェールズ北部と中部は反乱軍の支配下に入り、更にウェールズ南部にも戦火が広がり、ティンターン修道院やスランダフ大聖堂なども被害を受けたらしい。
更に西暦1403年には、ウェールズ北部とイングランドとの国境近くにあるコンウィ城(上の画像)も反乱軍に攻略されている。ちなみに、このコンウィ城を攻略したのは、後のイングランド王ヘンリー7世の先祖にあたるテューダー家の人々だった。(テューダー家の人々は後にイングランド側の大赦の誘いに応じて投降しているけどね。)
ウェールズの反乱に対するフランスやスコットランドの支援このオーウェン・グリンドゥールによるウェールズの反乱が、宿敵イングランドに打ち勝つチャンスと考えたフランスやスコットランドは、軍事的に反乱軍を支援している。スコットランドの艦船は、イングランド南西部にあるコーンウォールやデヴォンの沖合いに出没し、ウェールズ反乱軍兵士を乗せてデヴォンに上陸したこともあるらしい。 更に西暦1405年にはフランス軍がフランス南西部にあるイングランド領アキネーヌに侵攻し、同時にウェールズ南西部に上陸したフランス軍が東に進んでイングランドに侵入したらしい。
上の画像は、ウェールズ南部にあるケルフィリー城なんだけど、西暦1405年にはフランス軍とウェールズ反乱軍が合同でこの城を落とし、1年間も占領し続けたんだそうな。(上の画像で塔が傾いているのは、清教徒革命の際の戦闘によるらしいけど異説もある。)
ウェールズの反乱の沈静化ところが、オーウェン・グリンドゥールが目指したイングランドからのウェールズ独立を果たせないうちに、長引く戦いの中でフランス軍などが撤退していった。反乱軍もしばしば戦いに敗れるようになっていった。イングランドによる経済封鎖がボディブローのように効いてきた。
そんな状況となった西暦1412年、オーウェン・グリンドゥールは反乱軍を率いて山中のブレコン近くでイングランド軍を敗走させたらしい。(上の画像はウェールズ南部にあるブレコン・ビーコンズ国立公園の山々。)
オリンピックのサッカーに出場するイギリスの代表は、基本的にはイングランドとかスコットランドとか各々のチームが出場することになっている。でも、西暦2012年にロンドンで開催されたオリンピックでは、全イギリスの代表チームが出場したらしい。でも、試合前のイングランド国歌斉唱において、ウェールズ出身のキャプテンは歌わなかったんだそうな。ウェールズの人々の気持ちは微妙なんだね。
ところで、西暦2014年09月18日に行われたスコットランドの独立を問う住民投票の結果、独立反対が多数を占めた。もし仮に独立賛成という結果になれば、同様の動きがウェールズに広がったかもしれないね。でも、イギリス政府はスコットランドに自治権の拡大を約束したんだ。となれば、ウェールズだって同等の自治権を要求するよね。そんなこんなでイギリス(連合王国)の動揺はまだまだ続きそうだね。
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