ヨーロッパの歴史風景 近世編




西暦1681年、フランス王ルイ14世(太陽王)が、アルザスの街ストラスブールを攻略した。


幾度も戦乱に巻き込まれたアルザス地方(フランス東部)

フランスのワインの産地といえば、まずはブルゴーニュ地方とボルドー付近が頭に浮かぶかな。森の石松じゃないけど、その次が難しいかもしれないね。でも、フランス東部アルザス地方は有力な候補になるだろうね。

下の画像は、そのアルザス地方の街リクヴィールのワイン業者ヒューゲル社のワインのエチケットなんだけど、なんと創業は西暦1639年という老舗のワイン業者さんなんだ。

フランス東部アルザス地方の街リクヴィールのワイン業者ヒューゲル社のワインのエチケット

そのヒューゲル社の創業の前年、つまり西暦1638年にこのページの主役であるフランス王ルイ14世太陽王が生まれている。パリ近郊にヴェルサイユ宮殿を造営したことで名高い王様だよね。

そしてそのフランス王ルイ14世太陽王こそは元々は神聖ローマ帝国の領土だったアルザス地方とその中心都市ストラスブールを占領し、フランス領とした人物なんだ。といっても、その後もアルザス地方は何度も何度も争奪戦の対象となり、戦火に巻き込まれたんだけどね。

三十年戦争とアルザス地方

西暦1618年、神聖ローマ帝国を舞台に三十年戦争が始まった。基本的にはカトリックとプロテスタントとの対立だったんだけど、そこに複雑な利害が絡んで諸外国が介入した。そしてカトリックのフランスは、宿敵のハプスブルク家に対抗する為にプロテスタント陣営に立って参戦したんだ。

そんな三十年戦争も半ばの西暦1632年、プロテスタント側のスウェーデン軍がアルザスの中心都市ストラスブールに入城した。そして西暦1634年にはスウェーデン軍は同じプロテスタント側で戦っていたフランス軍にアルザス地方の占領地域を引き渡した。

西暦1648年、三十年戦争が終結し、ウェストファリア条約が締結され、ストラスブールを除くアルザス地方の殆どがフランスに帰属することとなった。ちなみに、その5年前に当時5歳のフランス王ルイ14世が即位していたんだけど、アルザスの獲得は宰相マザランの外交の成果だった。

フランス東部アルザス地方の街コルマールのプチ・ヴェニス

上の画像は、アルザス地方の街コルマールにあるプチ・ヴェニスの風景。このコルマールはアルザスのワイン取引の中心だった。ブルゴーニュ地方で言えば、あのオテル・デュー(オスピス・ド・ボーヌ)で名高いボーヌに相当する街ということになるね。

フランス王ルイ14世太陽王によるストラスブール占領

アルザス地方をめぐる争奪戦はまだまだ続く。一旦はフランスに帰属することになったアルザス地方なんだけど、西暦1674年には神聖ローマ帝国軍がフランス軍を撃ち破り、ストラスブールに軍を進めた。

西暦1661年には宰相マザランが亡くなり、ルイ14世は親政を始めていた。その太陽王ルイ14世はアルザス地方で反撃を行い、神聖ローマ帝国によって占領された土地を奪い返している。

フランス東部アルザス地方のストラスブール大聖堂の尖塔

そんなフランス王ルイ14世がアルザスの中心都市ストラスブールを占領したのは西暦1681年のことだった。(上の画像はストラスブール大聖堂の尖塔を見上げたところ。)

その後も続くアルザス争奪戦

ストラスブールを占領したフランス王ルイ14世太陽王は、アルザス地方の支配の為に軍の病院などを設置した。その場所がストラスブール旧市街のプチ・フランスと呼ばれている。(下の画像は観光客に人気のプチ・フランス地区の風景。)

フランス東部アルザス地方の街ストラスブールにあるプチ・フランス

ルイ14世太陽王が占領したストラスブールのフランスへの帰属は、西暦1697年に結ばれたライスワイク条約によって認められた。でも、アルザス地方はその後も争奪戦の場となっているんだ。

フランス皇帝ナポレオン3世が捕虜となった普仏戦争後はドイツ帝国の領土となり、第一次世界大戦の後にはフランスに復帰し、第二次世界大戦時にはドイツに占領され、戦後はフランスに復帰している。

そんなアルザス地方のストラスブールに欧州議会が設置されたのは西暦1952年のことだった。

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