ヨーロッパの歴史風景 近代・現代編




西暦 1796年、ジョゼフィーヌと結婚したナポレオンがイタリアに遠征しオーストリアと戦った。


ナポレオンとジョゼフィーヌの結婚

フランス革命の後、西暦1795年に王党派の暴動を鎮圧した功績で師団長に昇進したナポレオンは、西暦1796年にジョゼフィーヌ・ド・ボーアルネと結婚した。

フランスの首都パリのルーブル美術館にあるダヴィドの絵「皇帝ナポレオンの戴冠式」

その女性は後に皇帝ナポレオンの皇后となるジョゼフィーヌなんだ。上の画像はフランスの首都パリルーブル美術館で見たダヴィドの絵「皇帝ナポレオンの戴冠式」なんだけど、跪いている女性がジョゼフィーヌだね。

ナポレオンのイタリア遠征

ジョゼフィーヌと結婚したばかりのナポレオンなんだけど、のんびりと新婚生活を楽しむ時間は無かった。結婚式の翌月、つまり西暦1796年4月には、ハプスブルク家のオーストリア軍と戦う為にイタリア遠征に出発している。

イタリアにおいてオーストリア軍との戦いに勝利を得たナポレオンは、西暦1796年5月15日にはミラノに入った。ミラノといえば、見逃せないのはイタリア・ルネサンスの巨匠ダヴィンチの代表作「最後の晩餐」だよね。

イタリア北部の街ミラノのサンタ・マリア・デル・グラツィエ教会の中のダヴィンチの絵「最後の晩餐」

上の画像はミラノのサンタ・マリア・デラ・グラツィエ教会にあるダヴィンチの「最後の晩餐」なんだけど、ナポレオンもここまできて「最後の晩餐」を見たんだそうな。

イタリアで勝利を重ねたナポレオン

といっても、イタリアでの戦争が終わったわけじゃなかった。ナポレオンは引き続きオーストリアと戦いを続けている。西暦1796年11月にはアルコレの戦いでフランス軍がオーストリア軍を大敗させている。

ロシアの古都サンクト・ペテルブルクにあるエルミタージュ美術館で見たジャン=アントゥアン・グロが描いた「アルコレ橋上のナポレオン」

上の画像はジャン・アントゥアン・グロが描いた「アルコレ橋上のナポレオン」なんだ。パリのアンヴァリド(廃兵院)で見るナポレオンとは違い、この「アルコレ橋上のナポレオン」は若くて精悍だね。

でも、歴史の皮肉なんだけど、この「アルコレ橋上のナポレオン」は彼の宿敵だったロシアの古都サンクト・ペテルブルクエルミタージュ美術館で見たものなんだ。

翌年1月にもオーストリア軍を撃破し、その年の4月にはレオーベンの仮講和条約を結んだナポレオンは、フランスにその名をとどろかせた。その半年後の10月にはオーストリアとカンポ・フォルミオの和約を結んでいる。これはナポレオンの独断だったらしいんだけど、彼の功績が大きすぎて本国フランスの政府も文句を言えなかったらしい。

ナポレオンとイタリアの美術品・文化財

ナポレオンの功績は、オーストリアとの戦争を勝利に導いただけじゃなかった。イタリアから多くの財宝をフランスに送り、革命政府の財政を改善したことも彼の功績だった。

更にナポレオンはイタリアの絵画・彫刻などの美術品や文化財をフランスに送っている。例えば、西暦1797年にはローマの教皇庁とトレンティーノ条約を結んでいるんだけど、その条約によって彼はボルゲーゼ美術館のコレクションを譲渡され、それをフランスに送っているんだ。

イタリアの首都ローマのボルゲーゼ美術館

ちなみに、上の画像は今のボルゲーゼ美術館なんだけど、ここに来ればイタリア・バロックの彫刻家ベルニーニの作品や同じくバロックの画家カラヴァッジョの絵画を見ることが出来る。ローマでもお勧めの美術館だね。

また、イタリアの古都フィレンツェを支配していた名門メディチ家のコレクションの一部もナポレオンはフランスへ持ち帰っている。その多くは後にフィレンツェに返還されたんだけど、今もフランスに残っている美術品もあるらしい。それらの美術品がフィレンツェに返還されれば、ウフィツィ美術館パラティナ美術館の展示は更に豊かになるんだろうね。

他方、ローマ教皇ピオ6世はナポレオンによって幽閉された状況で亡くなっている。そのピオ6世はローマのヴァティカン美術館・博物館ピオ・クレメンティーノ美術館を創設した人物だった。その中の八角形の中庭には、ラオコーンなどの古代彫刻の傑作が並んでいる。逆の意味でナポレオンゆかりの美術館 ・・・ かな。

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