ヨーロッパの歴史風景 中世編

	西暦1244年、イングランド王ヘンリー3世がヨーク城の再建を命じた。（イギリス）

ヨーク城の天守 クリフォード・タワー

このクリフォード・タワーを中心とする今に残るヨーク城の築城（正しくは再建）を西暦1244年に命じたのが、イングランド王ヘンリー3世だった。ジョン失地王の息子でもあり、さほど評価の高いとも思われないヘンリー3世なんだけど、このクリフォード・タワーやロンドンのウェストミンスター寺院などを建てたことで名前を残しているんだそうな。

ヨーク城 前史

• 西暦1068年、イングランド征服王ウィリアム1世がイングランド北部を廻り、今のクリフォード・タワーのあたりに最初のヨーク城が木造で築かれた。短い工事期間で築かれた簡単な城砦だったらしい。
  
  
• 西暦1069年、川を遡って船で襲ってきたデーン人と連携した地元反乱貴族によってヨーク城が奪われた。
  
  
• 西暦1070年、デーン人と反乱貴族を鎮圧した征服王ウィリアム1世によって、ヨーク城が再建され補強された。
  
  
• 12世紀後半、ヨーク城に4度も滞在したプランタジネット家のイングランド王ヘンリー2世によって補強・拡張された。
  
  
• 西暦1190年、ヨーク城でユダヤ人の虐殺され、その際に天守が焼失した。しかし、再び木造で再建された。
  
  
• 西暦1228年、イングランド王ヘンリー3世がクリスマスにヨークに滞在。その際に強風でヨーク城の天守が崩壊した。でも、その天守は再建されず、国王滞在用の館だけが築かれた。
  
  
• 西暦1244年、スコットランド軍がイングランドに侵攻する惧れが出てきた。慌てたイングランド王ヘンリー3世がヨークを訪れ、ヨーク城の石造での再建を命じた。
  
  
• 西暦1245年、ヨーク城の再建工事が始まった。今に残るクリフォード・タワーはその工事によって築かれたもの。工事の完了は西暦1270年だったそうな。
  

ヨーク城の天守クリフォード・タワーに登る

クリフォード・タワーの上に登れば、ヨークのあちこちを眺めることが出来るわけだ。ヨーク・ミンスター（大聖堂）、市壁や城門、かつてヴァイキングが遡ってきたウーズ川やフォス川など。

その後のヨーク城

• 13世紀末から14世紀初頭にかけて、スコットランドに侵攻したイングランド王エドワード1世がヨーク城を本部としていた。
  
  
• 西暦1315年、洪水によって城砦の土台が損なわれ直ちに修理が行われた。
  
  
• 14世紀半ば過ぎ、石造の天守が重すぎて沈下し、一部にひび割れが生じた。
  
  
• 西暦1536年、イングランド王ヘンリー8世による修道院解散に反対した反乱のリーダーだったロバート・アスクがヨーク城のクリフォード・タワーから吊るされて処刑された。
  
  
• 西暦1643年、清教徒革命の際、王党派の貴族や兵士たちがヨーク城に籠城した。しかし、翌年には議会軍にヨークを明け渡している。
  
  
• 西暦1684年、クリフォード・タワーの中の武器庫での爆発によって、クリフォード・タワーの内部が破壊された。（それでも上の画像のようにタワーに登ることが出来るんだ。）
  

ヨークに見る歴史いろいろ

他にも、ミクルゲート・バーという城門では、ばら戦争の最中の西暦1460年に第3代ヨーク公リチャード・プランタジネットの首が吊るされたりもしている。ちなみに、その息子さんはヨーク家のイングランド王エドワード4世なんだけどね。

その他にもイングランド王ヘンリー8世によって解散させられたセント・メアリーズ修道院跡もヨーク市内にあるね。ヨークからちょいと足を伸ばせば、世界遺産にもなっているファウンテンズ修道院跡も見応えがあるんだけどね。そんなこんなで、歴史好きにはヨークは見応えがあるんじゃないかな。

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