スカールホルトの教会北大西洋に浮かぶアイスランドの南部に小さな集落がある。スカールホルトと呼ばれるその集落にあるのが、下の画像の教会なんだ。
さほど大きな教会でもないし、西暦1963年に建てられたというからさほど歴史のある教会というわけでもない。でも、このスカールホルトにはかつて大きな聖堂があったそうな。アイスランドの人々がキリスト教に改宗し、最初に設けられた司教区の聖堂がここにあったんだそうな。アイスランドのキリスト教の歴史においては、重要な場所だったんだね。
アイスランドのキリスト教西暦874年頃にノルウェー系ヴァイキングがアイスランドに植民を始めた時、この島に住んでいたのはアイルランド系の修道士たちだった。彼らは無人の島でキリスト教の信仰に捧げた暮らしをしていたんだ。ところが、新たにやって来た人々は、キリスト教徒はまったく異なるヴァイキングの伝統的な神々を崇拝していた。かくしてキリスト教を信じるアイルランドの修道士たちはどこかに消えて行ったらしい。 ところが、10世紀になるとヨーロッパに残ったヴァイキングたちもキリスト教に改宗し始めた。10世紀末にはノルウェー王オーラヴ1世トリュグヴァソンがアイスランドにキリスト教の宣教師を派遣したんだそうな。 かくしてアイスランドにおいても、アルシング(国会)においてキリスト教に改宗すべきかどうかの問題が採り上げられ、西暦1000年に改宗が決められたんだそうな。
ちなみに、アイスランドのアルシング(国会)は西暦930年に開設されている。その舞台となったのが、上の画像にあるシンクヴェトリル国立公園の岩だらけの土地だったそうな。
スカールホルトに設けられた司教区かくしてキリスト教に改宗したアイスランドの族長の一人であるギツールは、スカールホルトを中心として人々に改宗を勧めている。更には彼の息子イスレイブはドイツでキリスト教を勉強している。そして西暦1056年、そのイスレイブがアイスランドの最初の司教となり、スカールホルトに司教座を置いた。かくしてこの島の最初の司教区がスカールホルトに設けられたというわけだ。
最初の司教区の中心となったスカールホルトは、11世紀後半に書かれた古文書によれば、アイスランドで最も賑わった街となっていたそうな。但し、上の画像はそのスカールホルトの教会から眺めた周囲の様子。賑わった街の面影も無いんだけどね。
アイスランドと宗教改革西暦1540年、当時のアイスランドの支配者だったデンマーク王クリスチャン3世が兵を送り込んできた。兵士たちはスカールホルトの司教を逮捕し、教会領を没収したらしい。更には西暦1550年、デンマーク王の兵士たちはホウラルの司教を処刑し、その教会領も没収している。以後、アイスランドにおいてはローマ・カトリックの信仰は禁じられ、ルター派の信仰が強制されたそうな。多くの人々はルター派に改宗したけれども、改宗を拒否した人々の中にはスコットランドなどに逃れた人々もいるらしい。 その後、西暦1874年にデンマーク憲法に付随した形ではあるけれども、アイスランド憲法が制定され、信仰の自由が認められている。とはいえ、今でも国民の8割ほどはルター派を信仰し、その中心にはアイスランド国教会も組織されているんだそうな。
アイスランドを旅する海外からの観光客の多くが訪れる首都レイキャビクのハットルグリムス教会(上の画像)も、やはりルター派の教会なんだそうな。興味深いのは、アイスランド国教会と親しい関係にあるイギリス国教会もこのハットルグリムス教会で礼拝を行っているとか。
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