ヨーロッパの歴史風景 中世編




西暦874年、ノルウェー系ヴァイキングがアイスランドへの植民を始めた。


アイスランドを発見したノルウェー系ヴァイキング

9世紀頃、造船や航海術を発展させた一方で人口過剰に陥っていたヴァイキングたちは、故地を出て各地に進出していた。例えば、西暦844年には彼らはイベリア半島のリスボンやセビリアを略奪しているし、その翌年にはフランスの首都パリを略奪している。

北大西洋とアイスランドの略図

でも、彼らは南へ向かっただけではなく、西へも向かっていた。北大西洋に浮かぶアイスランド(上の略図を参照)を西暦860年頃に発見したのは、ノルウェー系ヴァイキングだったと言われている。ちなみに、ノルウェーからアイスランドまでの距離は 850kmほど、スコットランドからアイスランドまでは 700km足らずの距離にあるらしい。

レイキャビク開拓

ノルウェー系ヴァイキングたちがアイスランドへの植民を始めたのが西暦874年頃と言われている。その代表的な人物がレイキャビクの開拓を始めたインゴールヴル・アルナルソンだとされている。(下の画像はアイスランドの切手に描かれたインゴールヴル・アルナスソンのレイキャビクへの植民の様子。)

アイスランドの切手に描かれたインゴールヴル・アルナスソンのレイキャビク開拓

中世の書物によれば、アイスランドに近づいたインゴールヴル・アルナルソンは、移住前に住んでいた家の柱を船から海に投げ込んだ。伝統に従い、その柱が流れ着いた海岸に上陸し、そこで開拓を始めたらしい。上の画像の切手はその様子を描いている。

アイスランドに移住したヴァイキングを支えた牧畜と漁業

アイスランドに移り住んだノルウェー系ヴァイキングたちを支えたのは、牧畜と漁業だった。彼らは馬・牛・羊・豚を飼育したらしい。下の画像(暗くて見難くて申し訳ない)に見えているのは、真冬でも屋外で飼育されている馬の様子。馬は寒さに強いんだそうな。

アイルランドのグトルフォス近くの荒野にたたずむ馬たち

アイスランドで栽培できるものは、基本的に牧草だけだった。但し、島の南部では例外的に大麦の栽培も行われたらしいけどね。また、ヴァイキングたちが植民を始めた頃には、島にはブナ林もあったらしい。ところが、木炭を作るために木々が伐採され、森林は急速に減少していったんだそうな。

またアイスランドは豊かな漁場に囲まれている。というわけで、植民以来、漁業も重要な産業だった。余談ながら、アイスランドでは12世紀には捕鯨が行われていたらしい。そして今でも彼らは商業捕鯨を行っている。レイキャビクではクジラ料理を食べることも出来るんだ。

自由を失ったヴァイキングたち

アイスランドに入植したヴァイキングたちは、誰の支配をも受けず、自由に暮らしていた。ところが、彼らの故地である北欧の王はアイスランドに対する支配を強めようと、魔法使いを送り込んだ。魔法使いはクジラに姿を変えて島に近づいたらしい。

アイスランドのコインに描かれたドラゴン・巨人・牛・鷲

ところが、アイスランドの周囲はドラゴン、巨人、牛、鷲によって守られており、クジラに姿を変えた魔法使いは島に上陸することも出来なかったんだそうな。そんな伝説のドラゴン、巨人、牛、鷲を刻んでいるのが、上の画像にあるアイスランドのコインなんだ。

ところが、伝説とは違い、アイスランドは西暦1262年にはノルウェー王の支配下に入り、その後はデンマーク王によって支配されている。そんな彼らが独立を回復するのは西暦1944年のことだった。

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