ヨーロッパの歴史風景 先史・古代編




紀元前 800年ころ、アイルランドの西に浮かぶアラン島で古代ケルト人が石の城ドゥーン・エンガスを築いた。


アイルランドの西に浮かぶアラン島

古代ケルト人が残した石の城ドゥーン・エンガス遺跡はアイルランドの西に浮かぶアラン島にある。

古代ケルト人と同じくヨーロッパ大陸からアラン島に向かうならば、まずはフランス北部から英仏海峡を渡る。(今ならばユーロ・スターの列車に乗れば簡単にパリからロンドンまで行けるんだけどね。)

アイルランドとアラン島の略図

更にはウェールズあたりからアイルランドに渡る。その西の端にある街ゴールウェイから海に出て、アラン島に向かうわけだ。(今ならば、ヒースロー空港からダブリンまでは飛行機で1時間、ダブリンからゴールウェイまで列車で2時間半、ゴールウェイからアラン島までは飛行機ならば10分だ。)

但し、このドゥーン・エンガス遺跡があるのは、アラン諸島のイニシュモア島なんだ。アラン諸島には三つの島があり、その最大のものがイニシュモア島。でも、長くなるから以下では短く「アラン島」と書いちゃうけどね。

石の城 ドゥーン・エンガス遺跡の城壁

アラン島の港があるキルロナン村からは約 5km。歩いても行けるし、レンタ・サイクルを借りて行くも良し、ポニー馬車を雇っても良い。が、自転車とポニー馬車は途中までしか行けない。最後は石だらけの坂道を登っていくことになる。そして眼にするのが、下の画像にあるドゥーン・エンガス遺跡の石の城壁というわけだ。

アイルランドの西に浮かぶアラン島に残る古代ケルト人の石の城ドゥーン・エンガス遺跡の城壁

このドゥーン・エンガス遺跡は4重の城壁を持っている。私が数年前に読んだ資料では、紀元前800年前に築かれたとあった。が、つい最近眼にした資料によれば、紀元前1100年頃に築かれ、その数百年後に拡張されたともある。つまりは建設の年代は定かではないみたい。

ドゥーン・エンガスは城砦なのか、祭祀場なのか

いやいや、謎となっているのはドゥーン・エンガスの建設年代だけじゃない。その目的も謎なんだ。このページでは「石の城」と書いているけど、ここは宗教的な儀式あるいは祭祀の為の場所だったとの説も有力なんだそうな。(下の画像はドゥーン・エンガス遺跡の中の崩れかかった城壁。)

アイルランドの西に浮かぶアラン島に残る古代ケルト人の石の城ドゥーン・エンガス遺跡の崩れかかった城壁

先史・古代の遺跡としては、イギリスのストーン・ヘンジがあるし、アイルランドにもニューグレンジ遺跡がある。どちらもこんな辺鄙な場所ではない。そもそもヨーロッパの西のはずれにあるアラン島(アイスランドは更に西にあるけどね)に城砦や祭祀場を作る意味ってあるんだろうか ・・・。

ドゥーン・エンガスを築いたのは古代ケルト人なのか

このページでは、古代ケルト人がドゥーン・エンガスを築いたと書いてきた。でも、本当はそれも定かではないみたい。(下の画像はアラン島の断崖の上のドゥーン・エンガス遺跡の様子。)

アイルランドの西に浮かぶアラン島に残る古代ケルト人の石の城ドゥーン・エンガス遺跡は断崖の上にある

そもそもドゥーン・エンガス遺跡の建設年代がはっきりしないんだけど、その頃に古代ケルト人はこのアラン島まで来ていたのか。いやいや、アイルランドの人々は古代ケルト人から文化的な影響は受けたけど遺伝的な影響は受けなかった、つまり古代ケルト人はアイルランドには来ていないという説もあるんだそうな。

そんなこんなで謎の多いドゥーン・エンガスなんだけど、その遺跡があるのはアラン島の高さ100メートルの断崖の上。そこから眺めることができるのは果てしない太平洋なんだ。この遺跡を築いた人々もこの海を眺めていたのかな。

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