ヨーロッパの歴史風景 先史・古代編




紀元前 604年、古代メソポタミアの新バビロニア王国の王ネブカドネザル2世が即位した。


新バビロニア王国の王ネブカドネザル2世

古代メソポタミアにまつわる話の中で、有名なのが世界の七不思議の一つとされる「バビロンの空中庭園」だよね。ある伝説によれば、その空中庭園を建設したのがネブカドネザル2世だったとか。紀元前604年に新バビロニア王国の2代目の王として即位したとされている。

王となる前の彼は、アッシリアに遠征し、またパレスチナをめぐってエジプトと戦ったこともあった。西暦605年、彼のもとに父王の死の報せが届いた。直ちにバビロンに戻り、王位を確保している。

その後も彼はパレスチナ方面に遠征し、エジプトと戦っている。紀元前597年にはユダ王国の首都エルサレムを征服し、その王をバビロンに連れ帰っている。それがいわゆる第1回バビロン捕囚だね。更には紀元前587年にはユダ王国を滅ぼし、王家の人々や貴族をバビロンに連れ去った。つまり第2回バビロン捕囚だ。

ネブカドネザル2世による建築

対外的な軍事活動を活発に行ったネブカドネザル2世だったけれども、新バビロニア王国のバビロンでは様々な建築物を残している。神殿や聖塔の増築なども行った。

ドイツの首都ベルリンのペルガモン博物館で見た行列通りの花とライオンの装飾

そんな彼がバビロンに設けたのが行列通り。おそらくは対外遠征から凱旋する際にパレードを行った通りなんだろうね。上の画像はネブカドネザル2世が残した行列の為の通りの装飾なんだけど、花とライオンが描かれている。ドイツの首都ベルリンにあるペルガモン博物館に展示されているんだ。

バビロンに築かれたイシュタル門

もう一つベルリンのペルガモン博物館で見逃せないのが、ネブカドネザル2世によってバビロンに築かれたイシュタル門(下の画像)。西暦1902年から十年余りの間に発掘され、このペルガモン博物館に展示されている。彩色を施して焼いたレンガで飾られている。描かれているのはドラゴン、ライオン、雄牛たちなんだそうな。

ドイツの首都ベルリンのペルガモン博物館で見たイシュタル門

サダム・フセインは博物館の入口にこのイシュタル門のレプリカを建てようとしたらしい。でも、イラク戦争によって完成させることが出来なかったんだそうな。おそらくサダム・フセインはネブカドネザル2世の栄光を再現したかったんだろうね。

ネブカドネザル2世の死と新バビロニア王国の滅亡

ネブカドネザル2世は紀元前562年に亡くなった。その晩年においては正気を失っていたと旧約聖書は伝えている。旧約聖書においては、彼の息子ペルシャツァル王の時にバビロンがペルシャ軍によって征服され、新バビロニア王国は滅亡したとされている。

但し、キュロス2世率いるアケメネス朝ペルシャ軍がバビロンを征服した紀元前539年において、新バビロニア王国の王は6代目のナボニドゥスだった。旧約聖書にいうペルシャツァルは、学者によればそのナボニドゥスの息子にして摂政だったとされる。ネブカドネザル2世の子孫ではあっただろうけど、息子ではなかったみたい。

旧約聖書のダニエル書の主役である予言者ダニエルは、バビロンに連れ去られたユダヤの王族・貴族の一人であった。彼は新バビロニア王国の滅亡を予言し、王によって獅子の住む洞窟に放り込まれた。でも、天使によって救われたとか。

イタリアの首都ローマのサンタ・マリア・デル・ポポロ教会にある彫刻家ベルニーニによる獅子と予言者ダニエル

上の画像は獅子と予言者ダニエルの像なんだけど、イタリア・バロックの巨匠ベルニーニによる作品なんだ。イタリアの首都ローマにあるサンタ・マリア・デル・ポポロ教会で見ることが出来る。

ちなみに、ネブカドネザル2世によってバビロンに捕われていたユダヤの人々のイスラエルへの帰還を認めたのは、新バビロニア王国を滅ぼしたアケメネス朝ペルシアだったそうな。

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