ヨーロッパの歴史風景 近世編




西暦1742年、イタリアの水の都ヴェネツィアが大洪水に襲われ、多くの犠牲者が出た。


水の都ヴェネツィアで溢れ始めた海水

イタリアの水の都ヴェネツィアにあるホテルに泊まった翌朝、景色を眺めていて妙なことに気がついた。

イタリアの水の都ヴェネツィアで海水が溢れ始めた

雨も降っていないのに、サン・マルコ小広場(上の画像)に水が流れている。よく見れば、すぐ脇にあるゴンドラ乗り場から海水が溢れてきているみたいなんだ。

サン・マルコ寺院の前も洪水

流れ込んでくる海水はますます増えてくる。とてもじゃないけど、これでは観光なんてできないよ ・・・ と心配したんだけど、さすがにイタリアの水の都ヴェネツィアの人々は慣れている。

イタリアの水の都ヴェネツィアのサン・マルコ寺院の前の洪水

海水に靴を濡らすことなく歩くことができる渡り板の通路が用意されていたよ。(上の画像はヴェネツィアの守護聖人サン・マルコに捧げられたサン・マルコ寺院の前の様子。)

水の都ヴェネツィアの洪水

下の略図に見えるように、水の都ヴェネツィアはイタリアの東側に広がるアドリア海の北西端に位置している。というわけで、シロッコ(東南の風)が吹けば、ヴェネツィア周辺の海の潮位が上がるんだそうな。

イタリア北部の略図

加えて、大潮の時期の満潮には潮位はもっと高くなる。更に低気圧が来れば、ヴェネツィアの洪水(「アクア・アルタ」と呼ばれる)の三条件がそろってしまうというわけだ。

そんなヴェネツィアの洪水は、中世から現代に至るまで何度も何度も発生している。さすがは「水の都」と言っちゃいられない。西暦1742年にヴェネツィアを襲った大洪水の際には、多くの犠牲者も出たらしいよ。

そんなヴェネツィアの洪水は、近年になって頻繁に発生しているらしい。元々ラグーンの浅瀬や島に木の杭を打ち込んで築かれたヴェネツィアなんだけど、近代の産業化による地下水の汲み上げなどもあって地盤沈下が進んでいる。そして地球の温暖化による海水面の上昇だ。歴史ある水の都ヴェネツィアは水没の危機に瀕しているのかもしれないね。

海水に覆われたサン・マルコ広場

今では洪水は水の都ヴェネツィアの名物となりつつあるとも言われる。(下の画像は観光客が集まるサン・マルコ広場の洪水の様子。)

イタリアの水の都ヴェネツィアのサン・マルコ広場の洪水

といっても、洪水の時に用意される渡り板の上は多くの観光客が並んで歩き難い。洪水の際には閉まっているお店も多い。更には、水の都ヴェネツィアならではの乗り物であるゴンドラや水上タクシーも洪水の際には乗れないかもしれない。というのも、洪水によって運河の水位が上がれば、ゴンドラなどは橋の下をくぐることができなくなるからね。

というわけで、いくら観光の名物になりつつあるとは言っても、ヴェネツィアの洪水は無い方が良いにきまっているね。

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