キャンティのワイン生産地域の線引きワインを好きな人ならば、下の画像にあるボトルを眼にしたことがあるかもしれないね。イタリアを代表する赤ワインの一つであるキャンティなんだけど、ずんぐりしたビンが藁のバスケットに入っているのはキャンティの典型的なボトルなんだそうな。(但し、今はもっとスマートなボトルが多くなっているけど ・・・ 。)
キャンティのワインは、イタリアのトスカナ地方のブドウ畑で収獲されたブドウの実から醸造される。といっても、そのあたりのブドウ畑ならばどこでも良いというわけじゃない。「キャンティ」を称することのできるワインの原料となるブドウを産み出す畑の範囲はきっちりと決められているんだ。
キャンティのワイン生産地域の中核トスカナ地方では古代エトルリア人の時代からワイン用のブドウが栽培されていた。その後、西ローマ帝国の滅亡後も盛んにワインが生産され、13世紀後半にはキャンティのワインを取り扱うワイン商人のギルドがフィレンツェで結成されたらしい。そんなキャンティのワイン作りの中核となっていたのが、ガイオーレ、ラッダ、カステリーナという三つの村だった。その三つの村は、キャンティ同盟を結成してワインを作り、フィレンツェの商人たちとワイン取引の交渉を行っていたんだそうな。(下の画像はそんな三つの村の一つであるガイオーレで生産されたキャンティ・クラシコ・リゼルヴァのエチケット。)
西暦1716年のトスカナ大公コシモ3世による線引きは、そんな三つの村を中核としつつもそれをわずかに広げた範囲をキャンティのワインの生産地域として定めたものだったそうな。
拡大されたキャンティのワイン生産地域それから200年あまりが経った西暦1932年、イタリア政府はキャンティの生産地域を更に広げている。例えば、下の画像は、その20世紀前半の拡大の際にキャンティのワイン生産地域に含まれたコッリ・セネシ地区で生産されたキャンティのエチケットなんだ。そのエチケットには、「キャンティ・コッリ・セネシ」と記されている。
他方で18世紀前半にトスカナ大公に認められたキャンティ生産地域なんだけど、「キャンティ・クラシコ」と称するワイン生産地域(フィレンツェとシエナの間にある)とされている。但し、厳密には「キャンティ・クラシコ」地区はトスカナ大公によるキャンティ生産地域よりも広いんだけどね。
キャンティのワインの上をいくブルネッロ・ディ・モンタルチーノキャンティのワイン生産地域の中にありつつも、それとは別に「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」と称されるワインもある。4年以上の熟成が条件とされている。更には、「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・リゼルヴァ」(下左のエチケット)に至っては、少なくとも 5年の熟成が要求されているらしい。
長期間の熟成が条件とされているといっても、単に樽の中にワインを寝かせておけば良いというわけじゃない。そもそも優れたブドウの実が収獲でき、それを使って良いワインを作らなければ、長い期間の熟成には耐えられないんだそうな。
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