石油危機とアイスランド西暦1973年に起きた石油危機を覚えている方は、おそらくは中年あるいは初老(その境界はどこにあるのか ・・・ )、またはそれ以上の年齢なんだろうね。第四時中東戦争のあおりを受け、当時の原油価格は 3ドルほどから 5ドル以上に上がり、更には 12ドル近くにまで一気に引き上げられた。その結果、日本経済はマイナス成長に陥り、他方で翌年には物価上昇率が 23パーセントに達するという危機的な状況となったんだ。そんな石油危機の大波は北大西洋に浮かぶ島、人口30万人ほどの小国アイスランドにも押し寄せ、その経済は破綻寸前に追い込まれたらしい。ところが、そんな状況を乗り越えた結果、アイスランドは再生可能エネルギーの先進国になったんだそうな。
アイスランドが危機から脱することを助けたものはいくつかあるんだけど、第一の様子のヒントが上の画像に見えるギャオ 地球の裂け目(シンクヴェトリル国立公園)なんだろうね。
アイスランドにおける地熱発電下の画像は首都レイキャビクから 40kmほどのところにある世界最大の露天温泉ブルー・ラグーンの様子。この温泉のお湯には美肌効果があるとして、海外から多くの観光客が訪れる場所でもある。そんな温泉と再生可能エネルギーの活用にどんな関係があるのか ・・・ 。
石油危機によって危機に瀕したアイスランドでは、地熱を利用した発電所の建設に取り掛かった。かくして完成したのがスヴァルツェンギ地熱発電所だった。そこで利用した地下の熱水を溜め込んで作ったのが、上の画像にあるブルー・ラグーンだった。いわば地熱発電の副産物が、今では海外から多くの観光客を呼び込んでいるんだから、地熱を二度も美味しく活用しているわけだね。
更なる地熱の活用言うまでもなく、アイスランドは高緯度の場所にあり、気温はかなり低い。西暦874年にヴァイキングが植民を始めた際も、島の南部でわずかな大麦が栽培できたのみであり、他には動物を飼育するための牧草だけだったそうな。ところが、そんな島で下の画像のような光景を見ることが出来た。そう、バナナが栽培されていたんだ。
このバナナの栽培は温室の中で、しかも地熱を利用して行われていた。他にもオレンジが同様の方法で栽培されていたよ。更には地熱は一般家庭の暖房にも使用されている。アイスランドの全家庭の9割ほどで地熱が暖房に利用されているそうな。さすがは再生可能エネルギーの先進国だよね。
氷河の融水による水力発電話をアイスランドの再生可能エネルギーの活用に戻す。上に書いたバナナやオレンジの栽培なんだけど、地熱を利用すれば温度は高く保てるよね。でも、光はどうするんだろうか ・・・ 。地熱発電による電力を使用して光を生み出すのかな。上にも書いたけど、地熱発電はアイスランドの電力需要の4分の1をまかなっている。そして残りの4分の3の電力をまかなっているのが、氷河の融水を利用した水力発電なんだそうな。(下の画像は氷河の融水が流れ落ちるグトルフォスの滝の様子。)
そんなこんなでアイスランドにおいては必要電力のほぼ全量を地熱発電と水力発電でまかなっているというわけだ。どちらも海外からエネルギー源を輸入する必要がない上に、二酸化炭素も放射能も排出しない。石油危機はこの国を危機に陥れたけれども、それを乗り越えた結果が素晴らしいよね。
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