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西暦1305年、スコットランド独立の闘士ウィリアム・ウォレスがイングランドの首都ロンドンで処刑された。(イギリス)
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今も花束が捧げられるウィリアム・ウォレスの碑 (ロンドン、イギリス)
イギリスの首都ロンドン市内にある金融街シティの西のはずれの一角に、たくさんの花束が捧げられた碑(右の画像)がある。
おそらくは、その碑の前に花束を置いたのは、スコットランド出身の人々なんだろうと思う。
その碑に書いてあるのは、この場所で1305年8月23日にサー・ウィリアム・ウォレスが処刑されたということ。
スコットランド人 サー・ウィリアム・ウォレスは、13世紀末から14世紀にかけて活躍した人物だった。侵攻してきたイングランド王エドワード1世と戦ったスコットランドの英雄なんだ。
スコットランド独立の闘士 ウィリアム・ウォレスの戦い
ウィリアム・ウォレスは、おそらくは西暦1270年(西暦1272年生まれという説もある)にスコットランドで生まれた。26歳の頃からイングランド軍に対する戦いを開始し、西暦1297年にはスターリング・ブリッジの戦いで大勝利を収めている。
更に彼は国境を越え、南のイングランドに兵を進めたこともある。しかし、西暦1298年、イングランド王エドワード1世は、大軍を率いてスコットランドに侵攻した。多勢に無勢のサー・ウィリアム・ウォレスは、フォルカークの戦いで敗北。彼はフランスへの亡命を余儀なくされた。
サー・ウィリアム・ウォレス処刑(イギリス)
しかし、やがてサー・ウィリアム・ウォレスはスコットランドに舞い戻り、イングランド軍との戦いを再開する。ところが、仲間の裏切りによってイングランド軍に捕らえられ、イギリスの首都、というよりもイングランドの首都ロンドンに連れて行かれたんだ。
ロンドンでの裁判でサー・ウィリアム・ウォレスが裁かれたのは、エドワード1世に対する反逆罪だった。しかし、彼は反論する。イングランド王エドワード1世に忠誠を誓ったことが無いのだから、反逆罪は有り得ない。
しかし、いずれにせよ、イングランドにとってサー・ウィリアム・ウォレスは危険人物だった。そして、西暦1305年8月23日、サー・ウィリアム・ウォレスは斬首の刑に処せられた。その場所、つまりロンドンの金融街シティのはずれに、上の画像の記念碑があるんだ。
映画「ブレイヴ・ハート」の主役がウィリアム・ウォレス
余談ながら、このサー・ウィリアム・ウォレスの生涯を描いたのが、映画「ブレイヴ・ハート」なんだ。もちろん、メル・ギブソンが演じたのがサー・ウィリアム・ウォレスだ。
そして上の画像は、サー・ウィリアム・ウォレスが生まれて育ったスコットランドの奥地ハイランドの風景。ここがずっと戦いの舞台だったということが信じられないほどに静かな土地なんだ、今はね。
スコットランド独立に関する住民投票
ウィリアム・ウォレスなどの戦いにもかかわらず、やがてスコットランドはイングランドによって統合され、連合王国の枠内で共通の君主を戴くようになった。それでも、スコットランドの少なくない人々が独立を求め続けていた。
そんなスコットランド独立の動きは現代に至るまで続き、西暦2014年にはその独立の是非を問う住民投票が行われることになった。独立後のスコットランドの姿については、自治政府の首相にしてスコットランド民族党の党首であるサモンド氏が案を発表している。
その案によれば、独立スコットランドはエリザベス女王を君主とするものの独立の軍隊を組織し、北海油田の収入で財政のかなりの部分を賄うことになるらしい。でも、スコットランドの人々の中で独立支持派が多数を得るとは必ずしもならないとされている。そんな母国の状況をウィリアム・ウォレスはどう見ているだろうね。
余談ながら、そんなスコットランド独立の動きを見守っているのが、スペインのバルセロナを中心とするカタルーニャやバスク、ベルギーの北部フラマン語(オランダ語)地域なんだ。もしスコットランドが独立し、更に欧州連合(EU)やNATOへの加盟が許されるならば、後に続こうというわけだろうね。対してカタルーニャなどの独立を認めないスペイン政府はスコットランドが独立しても、欧州連合(EU)やNATOへの加盟には抵抗を示すんだろうね。
そして西暦2014年09月18日、スコットランドの独立を問う住民投票が行われた。結果は独立反対。ウィリアム・ウォレスの夢は実を結ばなかったわけだね。でも、カタルーニャ自治州は西暦2014年11月09日に独立をめぐる住民投票を行うことにしたそうな。対するスペイン中央政府は住民投票を違憲だとしている。結末はどうなることやら。統合されたはずのヨーロッパはまだまだ歴史の波に揺られている。
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