ヨーロッパの歴史風景 中世編




西暦500年頃、ケルト系ブリトン人がアングロ・サクソン人を打ち破った。そのブリトン人の指導者がアーサー王だったとの説もある。


アーサー王伝説の土地 コーンウォールとデヴォン

イギリスとコーンウォール・デヴォン略図 イギリスの首都ロンドンから南西に200マイル(320km)走ると、コーンウォールと呼ばれる地方(右の画像)がある。リンゴから作るお酒シードルが美味しくて、名物コーニッシュ・パイのある土地だね。

その隣がスコーンにつけて食べるクロッテッド・クリームなどの乳製品で有名なデヴォンと呼ばれる地方。

コーンウォールもデヴォンも、ケルト人の英雄 アーサー王伝説の多く残る地域なんだ。

アーサー王は実在したのか ・・・

多くのアーサー王物語で描かれるアーサー王の生涯。しかし、その実在については、必ずしも信じられてはいない。

でも、6世紀頃の修道士ヂルダスが書いた「ブリタニアの滅亡と征服について」と言う書物の中で、ケルト系ブリトン人を率いてアングロ・サクソン人と戦った人物のことが書いてある。それが、アーサー王だと主張する人々もいるんだ。

また、西暦500年頃、ペイドン・ヒルの戦い(あるいはパドニクスの戦い)において、ケルト系ブリトン人がアングロ・サクソン人を打ち破ったんだけど、その戦いでのケルト系ブリトン人の指導者がアーサー王だと説く人々もいる。

アーサー王は実在したのかどうか。いずれにせよ、当時のイギリス(ブリテン島)では、進出するアングロ・サクソン人がケルト系ブリトン人を虐殺したり、追い詰めたりしていたみたい。そしてケルト人は、このコーンウォールやウェールズスコットランドで生き延びていったわけだ。

アーサー王が生まれたティンタジェル城か ・・・

実在したかもしれないアーサー王が生まれたと言われるのが、コーンウォールの海辺にあるティンタジェル城。下の画像は現在のティンタジェル城の様子なんだ。

アーサー王生誕の地とも言われるコーンウォールのティンタジェル城(イングランド、イギリス)

今に残るティンタジェル城の遺構は、13世紀のコーンウォール伯リチャードが築いたものだと言われている。

但し、その周辺では4世紀の古代ローマ皇帝の名を刻んだ石版や、5-7世紀頃の地中海産の陶器が発見されているから、アーサー王の頃にここに何らかの勢力がいたことは間違いないみたい。

アーサー王を育てた魔法使いマーリンの洞窟か ・・・

ティンタジェル城で生まれた・・・かもしれないアーサー王は、生まれてすぐに捨てられてしまった。でも、赤ん坊のアーサー王を洞窟で発見し、育て上げたのが魔法使いのマーリンだった。

下の画像は、ティンタジェル城のある岩山の下の海辺の様子なんだけど、画像の右に写っている洞窟が、魔法使いマーリンがアーサー王を拾った場所だとも言われている。

アーサー王生誕の地とも言われるコーンウォールのティンタジェル城の下のマーリンの洞窟(イングランド、イギリス)

それが本当のことなのかどうか、もちろん私にはわからない。でも、アーサー王の物語を愛する多くのイギリス人たちが、この洞窟やティンタジェル城を訪れているのは確かだね。

ところで、西暦2016年8月のニュースによれば、このティンタジェル城の地下から、5世紀から7世紀にかけての宮殿と思われる建物などの遺構が発見されたらしい。しかも、その遺構からは陶器などに加えて地中海産のワインやオリーヴ・オイルなどの壺も発掘されたんだそうな。この宮殿はアーサー王にゆかりの建物である可能性も指摘されているとか。

アーサー王ゆかりのスポット

このコーンウォール界隈には、この他にもアーサー王ゆかりのスポットがいくつかあるんだ。興味のある方は行ってみてね。

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