ヨーロッパの歴史風景 中世編




西暦1328年、フランス王シャルル4世が亡くなり、カペー朝が断絶。イギリス・フランス間の百年戦争の火種となる。


フランスの首都パリのシテ島にあるコンシェルジュリー

フランスの首都パリへ旅行に行ったならば、歩いてみたい場所は色々とあるよね。エッフェル塔モンマルトルの丘、 ・・・ そしてシテ島へ行くならばノートルダム大聖堂サント・シャペル、 ・・・ 更に下の画像はそのシテ島にあるコンシェルジュリーだ。

フランスの首都パリのシテ島にあるコンシェルジュリー

このシテ島のコンシェルジュリー、元々はカペー家のフランス王フィリップ4世の王宮だった。(後には牢獄になり、フランス革命の後に処刑されたフランス王ルイ16世の王妃マリー・アントワネットも入れられていた。)

カペー朝フランス王家の断絶とフランス王位継承問題

このコンシェルジュリーを王宮としていたカペー朝のフランス王フィリップ4世には、3人の王子がいた。というわけで、カペー家の王位継承に問題が生じるなんて誰も思わなかった。ところが、西暦1314年にフィリップ4世が亡くなった。長男のルイ10世が王位を継承した。

ところがルイ10世は2年後に亡くなり、その直後に生まれたジャン1世が王位を継承したものの生後1週間で亡くなった。その叔父でルイ10世の弟のフィリップ5世が王位を継承したんだけど、彼も6年後に亡くなった。その結果、フィリップ4世の三男のシャルル4世がフランス王となったんだ。

でも、そのフランス王シャルル4世が西暦1328年に亡くなり、とうとうカペー朝フランス王家が断絶してしまった。フランスの王位を継承したのは、カペー家の傍系のヴァロワ家のフィリップ6世だった。対して、シャルル4世の妹にしてフィリップ4世の娘であるイザベルを母に持つイングランド王エドワード3世もフランス王位継承権を主張したわけだ。

スコットランド王デヴィッド2世の処遇

他方で、イングランド王エドワード3世は、エドワード1世のスコットランド侵攻から続くスコットランドの征服に取り組んでいた。その為にスコットランド王として傀儡であるエドワード・ベイリアルを即位させたんだ。

他方で、エドワード・ベイリアルと対立するスコットランド王デヴィッド2世は西暦1334年にフランス王フィリップ6世に保護を求めてきた。イングランド王エドワード3世はスコットランド王デヴィッド2世を引き渡すようにフランス王フィリップ6世に要求した。

しかし、フランス王はデヴィッド2世の引渡を拒否。逆にフランス北部ノルマンディーにある要衝ガイヤール城にデヴィッド2世をかくまったんだ。(下の画像は、ノルマンディーを流れるセーヌ川のほとりの街レザンドリから見上げたガイヤール城。)

フランス北部ノルマンディーにある街レザンドリから見上げたガイヤール城

その結果としてスコットランド征服の妨げとなったと考えたイングランド王エドワード3世は、ヴァロワ朝のフランス王フィリップ6世に対して反発を強めることとなった。

フランス支配下のフランドルに対する羊毛の輸出禁止

フランスに対して反発を強めたイングランド王エドワード3世は、西暦1336年にイングランド産羊毛のフランスへの輸出を禁止した。(下の画像はイギリスの首都ロンドンから日帰りで行けるコッツウォルズの子ヒツジたち。)

イギリスのコッツウォルズ地方の子ヒツジたち

その結果、フランス王フィリップ6世が支配下に入れていたフランドルの毛織物産業は原材料を輸入することができなくなり、その結果として重大な損害を蒙った市民たちはフランス王に対する反乱を起こし、イングランド王エドワード3世の側についたんだそうな。

イングランド王エドワード3世によるフランス王即位宣言

そして西暦1337年、フランス王フィリップ6世は、イングランド王エドワード3世がフランスに持っていた領地であるギュイエンヌ地方を没収した。(下の画像はギュイエンヌ地方の中心であるボルドー近くのブドウ畑。)

フランス南西部ボルドー近くのブドウ畑

その年の10月、イングランド王エドワード3世はロンドンのウェストミンスター寺院でフランス王としての即位を宣言した。9年前の西暦1328年にフランス王シャルル4世が亡くなって残した百年戦争の火種が、今ここに燃え上がろうとしているわけだ。

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