ヨーロッパの歴史風景 近代・現代編




西暦 1792年、パリの民衆がテュイルリー宮殿を襲撃し、フランス王ルイ16世を監禁した。


フランス革命で戦死したスイス傭兵たち

下の画像のライオン、暑さでまいっている ・・・ ように見えるかもしれない。でも、実はフランス革命の際にルイ16世たちを守って戦死したスイス傭兵たちの記念碑なんだ。

スイスのルツェルンにあるライオン記念碑

この「ライオン記念碑」はスイスにあるルツェルンの街の一角にあるんだ。でも、何故にスイス傭兵がフランス革命で戦死したのか ・・・ 。

フランス王ルイ16世たちの国外逃亡失敗

西暦1789年にフランス革命に火がついた後、フランス王ルイ16世たちはヴェルサイユ宮殿から首都パリのテュイルリー宮殿に移されていた。(下の画像はかつてテュイルリー宮殿の庭園だったテュイルリー庭園の様子。)

フランスの首都パリにあるテュイルリー庭園(かつてのテュイルリー宮殿の庭園)

ところが、西暦1791年にはルイ16世たちが国外へ逃亡しようとして失敗し、連れ戻されると事件が起こり、王たちは人々の反感を買ってしまった。

テュイルリー宮殿襲撃とスイス傭兵全滅

イタリアの首都ローマのヴァティカンにあるサン・ピエトロ大聖堂のスイス衛兵 そして西暦1792年、革命をひっくり返そうと動くオーストリアに対してフランス革命政府が宣戦を布告した。

フランス革命軍はその年の内にコート・ダジュールにある街ニースを占領し、翌年にはモナコ公国を占領している。当時のニースはフランス領ではなく、後に統一イタリア王国の王家となるサルディニア王家の所領だった。かつてサヴォワ公家から成長したサルディニア王家は、長くハプスブルク皇帝家に従属していた。

しかし、フランスにとって戦況は思わしくなかった。人々はそれをルイ16世や貴族たちの陰謀によるものだと考えた。

そんな状況下、フランス各地から革命を支持する兵士たちがパリに集まりつつあった。(このときマルセイユから来た兵士たちが歌っていた「ラ・マルセイエーズ」が後にフランス国家となった。)

そして西暦1792年8月、パリの民衆と集まっていた兵士たちがテュイルリー宮殿を襲ったんだ。ルイ16世たちフランス王家の人々を守ろうとした約600名のスイス傭兵たちは手こうしたものの全滅してしまった。(ちなみに、上の画像はイタリアの首都ローマヴァティカンにあるサン・ピエトロ大聖堂を守るスイス衛兵。)

そしてテュイルリー宮殿は人々によって占拠され、ルイ16世の王権は停止されたわけだ。ちなみに、上の画像にあるスイスのライオン記念碑は、フランス革命の熱狂も醒めた西暦1821年に建てられたものなんだそうな。

スイス傭兵とフランス王家

おっと、大事なことを書き忘れるところだった。やがては処刑されるフランス王ルイ16世と王妃マリー・アントワネットを守って全滅したスイス傭兵なんだけど、実はそもそもフランス王家とスイス傭兵とは長い歴史的なつながりがあったんだ。

土地の生産力の乏しいスイスでは、傭兵は重要な輸出産業だったということもある。加えて、スイスの独立を脅かしていたのはハプスブルク家だったわけだけれども、そのハプスブルク家と伝統的に敵対していたのがフランス王家であり、つまりは敵の敵は味方となったのがスイス傭兵とフランス王家だった。

例えば、西暦1572年にブルボン家のアンリ(後のフランス王アンリ4世)と王女マルグリットがノートルダム大聖堂で結婚して数日後に起こったサン・バルテルミーの虐殺では、スイス傭兵たちがユグノー(プロテスタント)を殺害するようにとの命を受けていた。

フランス国王ルイ16世のご先祖の太陽王ルイ14世スイスと傭兵契約を結び、対外戦争の際にはスイス傭兵が重要な兵力だったりしたそうな。そんなわけで、フランス国王ルイ16世を守っていたのがスイス傭兵だったというわけだ。

でも、西暦1848年の2月革命の際、またもやパリの人々がテュイルリー宮殿を襲ったんだけど、その時はスイス傭兵たちは宮殿を放棄して戦わなかったらしい。同じ場所で二度も全滅することは避けたんだね。

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